INTEGRATED REPORT 2025
CHAPTER 3
Enhancement of Management Foundation
menu

INTEGRATED REPORT 2025

Message from the President OPEN
CHAPTER 1 東京センチュリーの概要を知る OPEN
CHAPTER 2 独自の循環型経済社会を築く成長戦略 OPEN
CHAPTER 3 事業活動を支える経営基盤の強化 OPEN

連結ベースでの総合リスクマネジメント(ERM)

当社グループのERMは、連結定量的リスク管理による「資本利用率のガイドライン運営」を核に展開しています。資本利用率は、金融機関格付においても重要な判断基準の一つである「リスク耐久力」の評価に使用されています。リスク量は投資リスク、ものリスク、信用リスクなどリスク分類ごとに定められたメソドロジーでリスク計量を行っています(原則として明細ごと)。投資リスクは相対的に高いリスクとなる一方、ものリスクは裏付けとなる「もの資産」があり、資産の特性によりますが相対的にリスクは低くなっています。この総リスク量を一定の連結経済資本(株主資本をベースとする)吸収バッファー内に収めるよう、資本利用率のガイドライン運営を行ってきました。事業領域が拡大している状況では、投資家を中心に資本量とリスク量の関係性に注目が集まることからも、資本利用率は当社の成長持続性やさらなる投資余力の有無を客観的に判断する基準として重要な指標となっています。

資本利用率の水準については、当社が金融機関のような規制業種ではないことから、あくまでもソフトリミットのガイドラインとして75%を目安に運営しています。事業運営においてはM&Aなど、その時々の「商機」を逃さないことも重要なリスクマネジメント上の判断となります。会社の健全性を静的に捉えるのではなく、3年程度の中期におけるリスク量の増加水準と利益成長によるオーガニックな自己資本比率の積み上がり見込みや資本政策の許容度なども考慮することとしています。

「中期経営計画2027」では、ERMによる経営資源の効率的配分を目指したリスクコントロールフレームワークの構築を施策として掲げています。2024年度には、リスクプロファイルの上位を占める特定リスクカテゴリー(航空機、投資、不動産)に対して、リスク量ガイドライン(ソフトリミット)を正式に導入し、2025年度には総リスク量のコントロールと事業ポートフォリオのリスク分散の追加施策として事業分野別の経済資本配賦を試行的に導入するなど、ポートフォリオ・トランスフォーメーション(PX)を進めています。

当社グループではリスクマネジメントのミッションを、取るべきリスクに果敢に挑み、価値創出と成長を支えることと捉えています。今後も適正ガイドライン水準に資本利用率をコントロールしつつ、事業領域の拡大や環境変化に合わせて枠組みのレベルアップを図り、サステナブルな企業価値向上に努めます。

資本利用率の推移グラフ:総リスク量と連結経済資本、および資本利用率の2020年度から2024年度までの傾向を示す。

資本利用率の推移

資本利用率ガイドライン図:総リスク量(B)を連結経済資本(A)の75%のソフトリミット内に収めるERM管理の枠組み。

資本利用率ガイドラインイメージ図

リスクヒートマップ

「リスク管理の基本方針」および「総合リスク管理規程」に定めるリスクカテゴリーについて、当社グループの業務内容の年次経年変化を評価し、影響度と発生頻度とのマトリックスによってマッピングしたものです。リスク監査におけるリスクシナリオの動向や、各リスク項目のリスク量、取り組み案件や事件・事故などさまざまな要素を総合的に勘案して毎年見直しています。定期的に経営会議・取締役会に報告するなど、関係者とリスク認識の共有・見える化を進めています。

リスクヒートマップ:信用、もの、オペレーショナルなどのリスクカテゴリーを、影響度と発生頻度に基づき評価し可視化した図。

カントリーリスク

近年の地政学リスクの高まりを受け、カントリーリスクを信用リスクの一部としてではなく、独立したリスクカテゴリーとして管理しています。具体的には国別エクスポージャー管理と各国の地政学リスクのモニタリングという2つの側面から、重層的にカントリーリスクをコントロールしています。国別エクスポージャー管理では、ソブリン格付をベースに地政学リスクや営業戦略的な重要性を総合的に勘案して設定する国別のカントリーリミットをガイドラインとしています。地政学リスクモニタリングでは各国の政治、経済、社会状況の変化を適宜にモニタリングし、カントリーリスクの変動の兆候をいち早く捉えることで、適切な対策を講じる体制を整えています。

グローバルのリスク管理

グローバルのリスク管理においては、投資規模や資産規模が大きい米国の専門リース子会社であるAviation Capital Group(ACG)とCSI Leasing(CSI)に特に配慮しています。ACGは「リスクアペタイトフレームワーク」を導入し、「許容するリスク(例:航空機アセットリスク)」と「回避(軽減・移転)すべきリスク(例:金利・流動性・為替リスクなど)」を明確化するなど、独自の管理手法を取り入れ、レジリエント企業の典型として効果を上げています。さらにACGでは、カントリーやエアラインごとの集中リスク分散と、案件特性に応じた適正リスク・リターンの確保を骨子とする「リスクフレームワーク」を構築し、個別案件ベースで運用しています。

ACGにおけるリスクアペタイトフレームワーク

この表は横にスクロールできます

リスク許容度 管理レベル※1 リスクの種類※2 リスク管理手法
  • 高(許容するリスク)
アセット取得リスク➀
  • 汎用性が高く、安定したリース料および残価が見込めるアセットへ投資
  • 中(軽減・移転すべきリスク)
残価リスク➁
カントリーリスク
与信リスク
業界・市場リスク
ESGリスク
OEMリスク➂
  • 制御困難な外部環境によって影響を受ける可能性があるため、一定のリスク管理指標に収めるポートフォリオ管理を実施(エクスポージャー集中度の地域別上限、平均機体年齢の維持などにハードリミットを設定)
  • ESG部門責任者を選任し、各マテリアリティにつきアクションプランを策定・遂行。実施状況については毎年のESGレポートにて開示・報告
  • 購入契約にキャンセルポリシーなどの条項を設定
リマーケティングリスク➃
モデルリスク➄
  • 一定のリスク管理指標に収めるポートフォリオ管理を実施(リース満了年、新規機体受領年の分散化)
  • 低(回避すべきリスク)
地政学リスク
MRO※3リスク➅
  • 個別案件においても地政学リスクの変化に応じた協議・評価の実施を強化
  • MRO会社選定プロセスへの関与度増加、能動的なモニタリングの実施を強化
資金調達リスク
金利リスク
流動性リスク
通貨リスク
風評リスク
オペレーショナルリスク
  • 厳格なリスク管理指標に基づき、一定の比率に収まるヘッジ運営(金利デュレーションミスマッチ、D/Eレシオの制限など)
  • 借入における変動金利の借入率に一定の上限を設定
  • 市場環境の変化を想定したストレステストを定期的に実施
  1. アセット取得リスク:航空機取得時の機種、調達方法の選択など、適切なポートフォリオ管理ができないリスク
  2. 残価リスク:リース契約時に想定していた残存価額で航空機を売却・処分できないリスク
  3. OEMリスク:OEMからのデリバリー遅延や機体の品質問題などに係るリスク
  4. リマーケティングリスク:航空需要の減退などによりリース契約満了・解約時に再リース先を確保できないリスク
  5. モデルリスク:採算計算モデル上、金利や航空機価格の市場動向を適切にリース料へ織り込めず、案件実行時に適切なリターンを取れないリスク
  6. MROリスク:MRO会社がACGまたはエアラインの期待する品質を満たすサービスを提供できず、結果としてアセットの毀損につながるリスク

非財務リスク(非定量)

事業領域の拡大、特に金融からサービス・事業への展開とともにリスクの定量評価にはなじまない非財務のオペレーショナルリスクが重要となっており、非財務情報のリスク指標(KRI)を定めてモニタリングし、経営会議・取締役会などに報告しています。具体的な指標の種類としては、人事・労務、情報セキュリティ、事件・事故、内部通報、気候変動、法務・腐敗防止などがありますが、近年は「人権」「気候変動リスク」の把握・管理が重要となっており、人事・労務のスコープ拡大(単体から連結へ)、再生可能エネルギー、CO2排出量、省燃費機材(航空機)・電動車の保有比率などの環境関連指標の拡大に努めています。ステークホルダーの非財務リスクに対する関心は高まっており、今後も「人権」「気候変動」リスクのほか、サステナビリティの観点からESG/SDGsに関する有効な指標の拡充を図っていきます。

投資家情報 トップ

ページトップへ戻る