資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

(2026年8月現在)

現状認識

当社は、2026年5月に企業変革プログラム「TC Compass」のもと、「長期ビジョン2035」および「中期経営計画2030」を公表いたしました。長期ビジョン2035では、2035年度に純利益4,000億円、ROE15%以上、時価総額5兆円程度を目指すとともに中期経営計画2030では、2030年度に当期純利益2,000億円、ROE12.5%以上の目標を掲げております。これらの実現に向け、「機能拡大」「地域拡大」「キャピタルライト」を成長戦略の柱として、事業ポートフォリオの変革と資本効率の向上を推進しております。

長期ビジョン2035および中期経営計画2030のロードマップ:2025年度純利益1,113億円から、新中計期間(2030年度2,000億円)を経て2035年度に純利益4,000億円・時価総額5兆円程度を目指す成長プロセス

また、「長期ビジョン2035」および「中期経営計画2030」の公表以降、株主・投資家の皆さまとの対話を積極的に実施しており、当社が目指す事業ポートフォリオ変革や成長戦略に対する理解は着実に進展しているものと認識しております。こうした状況のもと、当社株式のPBRは1倍を上回る水準で推移しております。

しかしながら、当社が目指す企業価値の実現に向けては、PBR1倍超の達成をゴールとするのではなく、持続的な利益成長と資本効率の向上を通じて、さらなる企業価値向上を目指していくことが重要であると認識しております。

社会課題の解決を通じ、利益拡大・ROE向上を実現 2035年度の目標水準(純利益4,000億円、ROE15%以上、時価総額5兆円程度)と、純利益が1,113億円から4,000億円へ3.6倍に拡大する収益構造変化の図解

当社は、企業価値向上において「ROEの向上」と「PER(成長期待)の向上」の2つを重視しております。ROEの向上に向けては、「中期経営計画2030」に掲げるポートフォリオ変革を着実に実行し、高成長・高収益分野への資本再配分を進めるとともに、外部資本の活用によるキャピタルライト経営を推進することで、資本効率の向上を図ってまいります。

社会課題の特定から事業領域の選択を行い、事業構造改革と財務目標達成を推進し、企業価値(社会・経済・人財)の極大化を目指す図

PERの向上に向けては、「長期ビジョン2035」で示した社会課題解決を起点とした成長戦略と、「中期経営計画2030」に基づく具体的な実行状況を継続的に発信するとともに、株主・投資家の皆さまとの建設的な対話を一層強化してまいります。また、成長戦略の進捗や成果を着実に積み上げ、その実績をタイムリーかつ透明性高く開示することで、当社の持続的な成長性に対する市場の理解と評価の向上に努めてまいります。

当社は、これらの取り組みによって企業価値の最大化を図り、株主・投資家の皆さまをはじめとするすべてのステークホルダーの期待に応えてまいります。

株価向上に向けた取り組みの方向性

  1. 1ROE向上

    ポートフォリオ変革による収益性向上と資本効率改善

  2. 2PER向上

    長期ビジョン2035・中期経営計画2030の着実な実行による成長期待向上

  3. 3TSR最大化

    利益成長・資本効率向上・株主還元の充実

TSRおよび企業価値の最大化に向けた取り組み:基礎収益力向上(稼ぐ力)、資本効率向上、株主資本コスト改善により持続的な成長を目指す全体図

TC Compassの推進

当社は、「青い地球の未来をつくる」をPurpose、「地球規模の社会課題を解決に導く“永遠のベンチャー企業”」をVisionに掲げ、企業変革プログラム「TC Compass」のもと、企業価値の持続的な向上に向けた変革を推進しております。

経営理念体系:Purpose(青い地球の未来をつくる)、Vision(地球規模の社会課題を解決に導く“永遠のベンチャー企業”)、Values(挑戦・共創・信頼)

TC Compassでは、事業ポートフォリオの変革や成長戦略の実現に向けた取り組みを推進するとともに、その変革を支える土台となる経営基盤の強化にも取り組んでおります。持続的な企業価値向上の実現に向けて、「人財」「ガバナンス」「リスクマネジメント」の各領域において変革を進め、変化の激しい事業環境に柔軟かつ迅速に対応できる企業体質の構築を目指しております。

人財戦略においては、挑戦する企業文化の醸成を目的として、人事制度や評価制度の見直しを進めるとともに、専門性の高い人財の育成・獲得を強化しております。また、多様な人財がそれぞれの能力を最大限発揮できる環境づくりを推進し、持続的な成長を支える人的資本の強化に取り組んでおります。

ガバナンス面では、CxO体制の導入を通じて監督機能と執行機能の高度化を図るとともに、グループ全体最適の視点に立った迅速かつ実効性の高い意思決定体制の構築を進めております。

また、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を活用し、事業ごとのリスクとリターンを可視化したうえで、成長性・収益性・資本効率を踏まえた資本配分を実施しております。これにより、適切なリスクテイクと資本効率向上の両立を図ってまいります。

さらに、AIやデータ活用を中心としたデジタル戦略を推進し、生産性向上と新たな価値創出を加速させております。業務プロセスの高度化やデータドリブン経営の実現を通じて、競争優位性の強化と収益力向上を目指しております。

経営基盤の強化

3つの成長戦略(機能拡大・地域拡大・キャピタルライト)を実現する施策と、ガバナンス・リスクマネジメントおよび人財戦略による経営基盤強化の図解

資本コストに対する意識醸成

当社は、資本効率向上に向けた意識の醸成を経営の重要課題として位置付けております。その実現に向けて、各部門の業績評価体系に資本コストとリスク・リターンを反映した指標であるROICスプレッドを導入し、資本効率を重視した経営を徹底しております。

各部門においては、それぞれの事業特性を踏まえながら、資本コストを上回るリターンの創出(ROIC>WACC)を追求し、現場レベルに至るまで資本効率を意識した事業運営を推進しております。こうした取り組みを通じて、全社的なROE向上と企業価値の持続的な向上を目指しております。

また、継続的な収益性・成長性・資本効率のモニタリングを通じて事業ポートフォリオの最適化を加速するとともに、高い収益性と将来キャッシュフロー創出が期待されるFMVリース、MRO、データセンター、蓄電池、企業投資などの成長・戦略事業への経営資源配分を強化しております。今後も、成長性と資本効率を両立するポートフォリオへの転換を進めてまいります。

ROIC(投下資本利益率)の向上とROICスプレッド(ROIC-WACC)拡大を実現するための戦略構成要素図です。

ROICの向上とROICスプレッド(ROIC-WACC)の拡大

株主・投資家とのエンゲージメント

当社は、株主・投資家の皆さまとの対話を積極的に実施し、いただいたご意見・ご要望を経営陣および従業員へフィードバックするサイクルを軸としたIR活動を推進しております。こうしたIR活動において得られたご意見をもとに、情報開示の拡充や経営課題の改善を実現し、株主・投資家の皆さまとの信頼関係の構築、資本市場からの適正な評価の浸透を図り、中長期的な企業価値向上につなげていきます。

主なIR活動の状況

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活動 2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績 内容
決算説明会 4回 4回 4回 四半期ごとに決算説明会を開催
(第1・3四半期はIR担当役員、第2・4四半期は社長による説明)
個別ミーティング 約260回 約280回 約320回 国内および海外のアナリスト・機関投資家との対話
スモールミーティング 4回 3回 2回 社長およびIR担当役員によるスモールミーティングを実施
事業戦略説明会 1回 3回 1回 国内および海外の機関投資家向け事業戦略説明会
海外ロードショー 3回 3回 4回 社長およびIR担当役員等による海外機関投資家との面談

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活動 2023年度実績 2024年度実績 2025年度実績 内容
会社説明会 1回 2回 2回 会社概要や事業戦略、株主還元方針などに関する説明会

株主・投資家の皆さまとの対話において得られたご意見をもとに改善した具体例

  1. 1当社マネジメントとの対話機会の拡充に関するご意見(2025年実施)
    当社マネジメントとの対話機会の拡充について
    TCのマネジメントとの対話機会をもっと拡充してほしい。
    改善内容
    代表取締役社長と、アナリストおよび機関投資家の皆さまとの対話(スモールミーティング)を複数回実施。
  2. 2「IRイベント」の拡充に関するご意見(2025年実施)
    事業説明会等のIRイベント開催について
    TCの成長戦略の一つである航空機リース事業について、説明会を開催してほしい。
    改善内容
    航空機リース子会社のACGの事業説明会を実施。
    CEOおよびCFOが登壇し、今後の経営方針や事業戦略を説明(日・英)。
    説明会の動画(プレゼンおよびQ&A、日・英)をホームページに掲載。
  3. 3「IR資料」の開示に関するご意見(2025年実施)
    国内リース事業分野のスプレッド推移について
    国内リース事業分野について、金利上昇に伴う影響を確認したいので、スプレッド推移を開示してほしい。
    改善内容
    国内のリース事業(単体ベース)を対象に、毎四半期の推移を折れ線グラフで開示。
    また、毎四半期の契約高を棒グラフで開示し、改善したスプレッドの契約高がどの程度積み上がっているかを可視化すべく、ボリュームの開示も行った。
  1. 1「決算IR資料」の開示について頂いたご意見(2024年実施)
    DATABOOKの開示
    定量分析が容易になるよう、決算数値等のExcelベースでの開示を行ってほしい。
    改善内容
    既に開示を行っている決算数値等について、和英併記のもとExcelベースで整理を行い、自社IRページにおいて開示を開始した。開示概要は以下の通り。
    決算資料(決算短信・決算IR資料等)で開示を行っている数値(BS、PL、その他指標)
    主要財務データ:過去11年度分
    詳細財務データ:過去5年度分+当期を含む3年度の四半期実績
  2. 2「決算IR資料」の開示について頂いたご意見(2024年実施)
    事業分野別純利益見通しについて
    事業分野別の純利益見通しについての情報量を増やしてほしい。
    改善内容
    2025年3月期第1四半期決算より四半期決算における事業分野別純利益計画の進捗状況に関する開示を新たに開始した。
  3. 3配当に関してのご意見(2024年実施)
    累進配当方針の明文化
    成長と合わせる形で減配することなく、配当を実施してほしい。
    改善内容
    「中期経営計画2027」の配当政策において、累進配当を基本としつつ、利益成長による増配を目指す旨を明文化した。
  4. 4役員報酬に関するご意見(2024年実施)
    役員報酬制度の改定
    株主利益と連動した報酬制度の改定を行ってほしい。
    改善内容
    役員報酬を中長期的な事業の発展やTCXへの貢献と連動する枠組みにすることに加え、株主の皆さまと同じ目線に立ち、役員の株主価値向上意識を一層喚起するために「当社株式成長率」を採用。2024年5月に役員報酬制度を改定するとともに、新たに業績連動型株式報酬制度「株式給付信託」を導入。
  1. 1「中期経営計画2027」公表前に頂いた中期経営計画の策定に関するご意見(2023年実施)
    セグメント毎の増益ストーリーについて
    「中期経営計画2027」の計画値の公表について、東京センチュリーは、単一の商品を販売している企業グループではないため、少なくとも全体計画の数値だけ示すのではなく、事業分野別に業績予想を開示し、それぞれのセグメント毎に増益のストーリーを示さないとマーケットは、中期経営計画を株価に織り込むことができない。
    改善内容
    投資家の皆さまから頂いたご意見を経営陣にフィードバックし、「対話」を通じて得られた期待に応える開示を改めて検討した結果、「中期経営計画2027」では、事業分野別の利益計画と増益ストーリーをお示しするとともに事業分野別にセグメント資産残高増加額を公表して開示の拡充を図った。
  2. 2収益性に関するご意見(2023年実施)
    ROA改善について
    ROA改善に向けては、各事業の内、全社のROAを下回る事業の収益性改善も重要になる。東京センチュリーの事業は、パートナーとの共同事業が多いため、簡単ではないと思うが推進してほしい。
    改善内容
    オリエントコーポレーションとの共同事業会社である、オリコオートリースとオリコビジネスリースについて、両社がお客さまのニーズに迅速にお応えするためには、機動的な事業展開や最適な体制づくりを通じた効率性・生産性の向上、加えて両社のオリコグループとの更なる連携強化がOAL、OBLの持続的な成長に必要であると判断し、持分法適用関連会社に変更。
    持分法適用関連会社化に伴い、ROAの改善を実現。
    • ※2023年9月29日に持分法適用関連会社化
  3. 3「決算IR資料」の開示について頂いたご意見(2023年実施)
    ベース利益の把握
    東京センチュリーの事業利益には、キャピタルゲインや減損などの一過性の損益が内包されている。ベース利益を把握し、株価に反映するためには、少なくとも内訳を開示していただきたい。
    改善内容
    キャピタルゲインは、不動産や営業投資有価証券の売却益を開示し、キャピタルゲイン以外の一過性損益は、「減損・貸倒・営業投資有価証券評価損益等」として数値を公表した。

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