世界レベルを目指すDX戦略で新規ビジネス創出と多様な働き方実現へ 執行役員 システム部門長 筒井 純二 世界レベルを目指すDX戦略で新規ビジネス創出と多様な働き方実現へ 執行役員 システム部門長 筒井 純二

東京センチュリーはデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、業務の効率化とテレワークなどの多様な働き方を実現するデジタル化施策に取り組むことにとどまらず、デジタルの力を生かした事業の創出など、ビジネスの最前線も支えています。

新・第四次中期経営計画ではシステム部門において、どのような方針を掲げているのでしょうか? また、これまでの進捗状況をお聞かせください。

2022年度をゴールとする新・第四次中期経営計画では、次の10年に向けた強固な事業基盤の確立を図るために、「新しい事業領域への挑戦」や「新しいビジネスモデルの構築」などに取り組む方針を掲げ、そのキーワードの一つとしてデジタルを挙げています。日本のデジタルサービスや技術は特に欧米と比較し数年遅れていると言われています。世界30以上の国と地域で事業を展開する東京センチュリーグループのシステム部門としては、グローバル・コーポレート・グループとしてこの構想の下、世界レベルに対応できるよう様々な施策に注力し、着実に進展させています。
従来システム部門は、既存ビジネスにおいてIT(Information Technology)によりお客さまに対するサービスの向上・業務効率化を目指すものでした。しかし近年ではDX(Digital Transformation)という概念が浸透し、お客さま、当社、仕入先までビジネスのやり方を根底から変革し新たなサービスをシステムで実現することが必要になっています。
たとえば、当社では営業部店に負荷のかかる共通業務に関して、RPA(Robotic Process Automation)の導入を進めてきました。RPAでは、これまで人の手でアナログ的に進められてきた事務処理をソフトウェア型のロボットが代行します。ただ、現状のRPAはまだ発展途上の段階にあり、開発メーカーの違いによってロボットに得手・不得手があります。そこで、当社のIT推進部は一元管理が可能な「ロボットポータル」サーバを構築。年間約8,000時間/9万件の業務を自動化し、テレワーク下でも自宅からロボットを操作できるようになりました。
「新・第四次中期経営計画」では経営基盤の強化における重要テーマ・主要施策の一つとして、「デジタル技術活用によるビジネス変革の推進」を掲げています。具体的には、①デジタル技術を活用した企業価値向上と競争力の強化、②デジタル変革の実現を加速させる既存システムの抜本的見直し、③デジタル変革の推進に向けた体制整備に注力していく方針で、前述したRPAの導入はこれらの一環でもあります。さらに同計画では、国内リース事業においてもDXに対応した新たな事業ドメインの創生を図る方針で、こうした取組みにもシステム部門が深く関わっていくことになります。
システム部門では、営業部門と一体となり新たな変革を起こすべく体制を整備していますが、ビジネスが大きく変貌を遂げていくなかで、情報セキュリティ、ネットワーク管理、BCP対策などにおいて新たなスキルを身に着けることが重要です。そのため、システム・ビジネス両面のスキルを保有する人材を獲得・育成し、DXの推進に貢献できる体制を整えています。

【RPAによる作業の自動化】

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「攻めのIT経営銘柄」に続いて「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に選定されました。東京センチュリーのどのような取組みが評価された結果であるとお考えでしょうか?

「攻めのIT経営銘柄」とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で2015年度から実施してきた制度で、東証上場銘柄(約3,700社)の中から経営革新や収益拡大、生産性向上に結びつくIT活用に積極的な企業が選定されてきました。2020年度からはDXに焦点を当てるかたちでの選考となり、「DX銘柄」に改称されました。当社は「攻めのIT経営銘柄」の制度創設から6年連続で選定されています。先述したRPAや、現地法人で開始したオートローン自動審査の取組みなどが評価につながったと考えています。
「攻めのIT経営銘柄」の頃は、ITを用いた業務の効率化に選考の主眼が置かれていたように思われます。私たちのビジネスで言えば、紙のリース契約書をデータ化し、いつでも閲覧できるようにするのが一例です。しかしその段階では、お客さまを訪問しお時間をいただき、契約書に捺印をいただいた後、社内でスキャンし現物を倉庫に保管するという工程は変わりません。今後はもう一歩前に踏み込みDXが浸透する過程で、電子契約への移行が進めば、紙の契約書は必要なくなります。デジタル技術の積極活用により、ビジネスの進め方が革新され、商圏も広がっていくわけです。一方で、サイバー攻撃などによるデータ漏洩防止の対策や、万一のデータ破損にも対処できるスキルが求められていくこととなります。
また、抜本的な変革となるだけに、従来のビジネスの進め方に慣れてきた現場の混乱を防ぐことも重要です。当社はシンガポール現地法人において、同国のノンバンクで初となるオートローンの申し込みプロセスを電子化する「ウェブ申込・自動回答システム」を導入しました。その準備段階では現地スタッフなどの間で不安の声が聞かれましたが、サービス開始前にカーディーラを対象とした説明会を実施するなどのフォロー体制を敷き、実際にシステムが稼働すると、24 時間 365 日体制の自動審査・即時回答サービスの利便性に現場の誰もが満足し、お客さまからも高い評価をいただくことができました。

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「ウェブ申込・自動回答システム」ウェブで入力する情報をシンガポール政府の個人データバンクと連携させ、顧客情報が自動反映される。

システム部門の戦略と東京センチュリーが進めるDX関連事業との関わりについてご説明願います。すでに新規事業に結びついている事例はあるのでしょうか?

最先端技術を駆使した社内業務の効率化が、新たな事業への布石に結びつく事例も出ています。IT推進部が「ロボットポータル」サーバを構築したことについて先述しましたが、このように利便性の高いデジタルプラットフォームは、当社内だけの活用にとどめておくのは惜しいことです。販売やリース、サブスクリプションなど様々な手段を通じて世の中に広めていくことが社会貢献にも結びつくと私たちは考えていますが、そのためには他社との協業が不可欠です。新・第四次中期経営計画では資本業務提携契約を結んだ日本電信電話(NTT)との協業の推進を重点項目に掲げており、私たちが開発したデジタルプラットフォームがその具体的な施策となる可能性も考えられます。システム部門も社内の「縁の下の力持ち」にとどまらず、こうした協業ビジネスの最前線に立っていきたいと考えています。

新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの急速な普及、新政権におけるデジタル庁設置の推進など、DXへの対応は必須となっています。こうした変化における取組みをご説明ください。

もともと当社は2020年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、都内に勤務する約500名の従業員がテレワークを行える体制の構築を進めていました。新型コロナウイルス感染拡大を受けて体制整備を急ぎ、緊急事態宣言が発出された4月には全従業員の在宅勤務を可能にしました。大半の処理をサーバ上で行えるシンクライアントや静脈認証によるセキュリティの強化、WEB会議システム、オンライン名刺交換サービスなどの導入も果たしています。
新型コロナウイルスの感染拡大を機に、デジタル化がもたらす商習慣の変革を積極的に受け入れる風潮が強まったように思われます。例えば、当社は2年前から公金納付(引き落し)通知を電子化していましたが、こうしたサービスのニーズが顕在化したのはつい最近です。今後、デジタル庁設置の推進に伴い、様々な商取引、公的事務のデジタル化や新たなビジネス・業務効率化の要請が高まるでしょう。日本のDX進展において、当社もその一翼を担う覚悟です。

【2020年 新たな取組み:テレワーク環境導入による本質的効果】

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メッセージをお願いいたします。

DXに関わる施策に取り組む際に、私たちが重要視しているのがESGやSDGsです。地球環境や社会に貢献できることに注力していけば、自ずとビジネスとしても成立し、世の中からも評価されることになると考えております。ユーザーの視点からより便利なサービスを創出するためにも、コンサルティングファームやベンダーに依存する他力本願ではなく、自分たちで考えて独自のシステムを築き上げていくことにこだわります。
当社は、DXの分野においても世界トップクラスの知見のある金融・サービス企業を目指して、国内外の様々なパートナー企業と一体となってサービスを共創し、グローバルベースでの社会課題の解決に貢献してまいります。

筒井 純二

執行役員
システム部門長

大手システム開発会社で金融システム、ソリューションの開発に従事。2016年に当社に入社し、2018年に執行役員に就任。2020年よりシステム部門長。

(記事の内容、肩書などは掲載当時のものです)