信頼されるサービス・事業パートナーとして、社会課題の解決に貢献するために

SDGsと親和性の高いリース業

東京センチュリーは、2009年に、東京リースとセンチュリー・リーシング・システムの合併により発足した金融・サービス企業です。2019年には、合併10周年を迎えました。合併当初より、リーマンショックの余波やリース会計基準の変更など、国内のリースマーケットを取り巻く環境は非常に厳しいものがありましたが、規制に縛られない自由な経営環境を活かして、国内外の有力なパートナー企業様と連携しつつ、事業領域の拡大を図ってまいりました。2016年には、伝統的な金融を主体としたリースから脱却していくことを主眼に、サービスから事業までを視野に入れたビジネスモデルへの変革を目指して、社名から、業態を表すリースという言葉を敢えて外し、「東京センチュリー」として新たな決意を示しています。

当社事業の内訳は、国内リース・国内オート・スペシャルティ・国際の4つのセグメントに分類されます。情報機器や産業機械、ロボット、車、不動産など、皆さまの企業活動や個人の生活シーンに係わる所謂「モノ」を幅広く扱っておりますが、付随する管理・メンテナンスなどの付加価値サービスの提供を含めまして、オペレーティング・リースを基幹事業としながら、独自のビジネスの確立に注力してまいりました。国内で培ってきました知見をベースに、「金融×サービス×事業」の3軸を掲げ、環境・エネルギー領域をはじめ、M&Aやアライアンスを含めた海外戦略をも強化しておりまして、現在では、グローバルに37の国々と地域において事業活動を展開しています。グローバルアセットと言われる海外資産も全体の事業ポートフォリオの約半分を占めるに至り、この10年間において、当社グループの事業構造や収益構造も大きく変容いたしました。

当社の祖業でありますリース業は、いわゆる「3R」と呼ばれますリデュース、リユース、リサイクルを各種物件の取扱いを通じて、日常的に行っています。代表的な例としましては、オフィスでよく使われておりますパソコンなどの情報機器が挙げられます。
情報機器以外にも、自動車・航空機など、セカンダリーマーケットである中古市場が確立し、ライフサイクルマネジメントを含めた案件も数多く取り組んでいます。航空機は、エンジンメンテナンスを定期的に行えば25年の長期間に亘って使用することができる物件です。新造機のリースから始まり、リース満了後の中古機体の売却や再リース、エンジンそのものを対象としたリースや機体のパーツファイナンスなど、循環型のビジネスに深く関わっています。

古の話となりますが、かつての江戸時代には、人々の着物も代々大切に扱われ世代を越えて使われたと伺っております。私どもはメーカーではありませんが、有形物であれ無形物であれ、パートナー企業との協働や共生を通じて、様々な「モノ」の使用に関して、「モノ」の価値そのものや付加価値を高めていくことがビジネスの基本にあると考えています。
「モノ」を大切にすることに根差した当社の様々な事業も、取り扱う物件に関与していく中で、サーキュラー・エコノミーの拡大・浸透に貢献することに繋がり、SDGsやESGにも相応に通じる思想を宿していると考えています。
このような当社ビジネスの沿革や背景もあり、「モノ」の価値・ライフサイクルに関与し、金融機能を持つ事業会社として、環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献していくことを、「経営理念」に掲げております。

新・第四次中期経営計画

2020年2月に、新たに「新・第四次中期経営計画」を策定・公表いたしました。2030年までの持続可能な開発目標、すなわちSDGsの達成年度からバックキャスティングする発想をも取り入れ、アメリカのかつてのアポロ計画になぞらえて、当社としての「ムーンショットは何か」、その「ムーンショット」の実現を目的に、グローバルに多くの人材が自然に集ってくるような企業となるためには何が必要であるかなど、社外取締役を含めてインテンシブな議論を数多く行いました。併せて、SDGsに関しましても、主要テーマのリストアップと対応セクションを明確化した3年間のロードマップも策定しております。

【新・第四次中期経営計画の位置付け】

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2018年には、経営会議の諮問機関としての「サステナビリティ委員会」、その事務局としての「サステナビリティ推進室」を設置し、取締役会とも適宜連携しながら、より実践的な活動を目的とした組織対応を行いました。2019年には、SDGsの17のゴール、169のターゲットに対して、東京センチュリーグループの事業との関連付けを行い、営業現場と本部が一体となったディスカッションを踏まえ、サステナビリティ委員会・経営会議・取締役会において、経営戦略や事業活動と照らし合わせた検討を進め、マテリアリティとして、共通の基盤1項目とともに5項目を掲げることといたしました。

マテリアリティ①:低炭素社会への貢献

環境・エネルギー事業の一環として、京セラ様との共同出資により、環境に配慮した再生可能エネルギーである太陽光発電事業を日本全国において展開しています。土地の賃借、施工から運営までワンストップでの対応を可能とした仕組みにより、既に全国70カ所以上、300MW以上の容量にて稼働しており、クリーンエネルギーの供給に貢献しています。当社は、2018年10月に公募形式によるグリーンボンドを業界に先駆けて発行し、100億円を調達しております。調達した資金は、太陽光発電用の設備投資に充当しています。他方、海外においても、JCM(JOINT CREDITING MECHANISM)という二国間クレジット制度を活用した低炭素技術拡大のサポートを強力に推進しています。

マテリアリティ②:技術革新に対応した新事業創出

次に、「技術革新に対応した新事業創出」の事例です。IoT時代の本格的な到来を迎え、リース・レンタルにおいても、モノの定額料金による賃貸に加え、「コト」、所謂、使用価値やサービスの利用に係る時間単位での従量課金、すなわち、サブスクリプションに対するニーズが急速に高まってきました。サブスクリプション事業を推進するためのプラットフォームとして、東京センチュリーとビープラッツ、ソラコム3社協業による「IoT SELECTION connected with SORACOM」というECマーケットプレイスを2019年3月に開設しております。本ウェブサイトを通じて提供される IoT ソリューションは、デバイス、通信、アプリサービスがパッケージ化されており、お客さまは、デバイスの購入を行うことなく、使いたい IoT ソリューションをすぐにご利用いただけます。利用申し込みから契約、また、利用期間中の各種手続きは、全てウェブで完結するため、お手軽にお試しいただくことが可能です。ソリューション・メニューの拡大を通じて、自動翻訳機をはじめ、スマホやタブレットから利用できるPOSレジ、見守り・防犯IoT電球、工場設備の使用電力モニタリング、水産養殖の給餌最適化等、多様なサービスをサブスクリプションにて提供しています。

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マテリアリティ③:社会インフラ整備への貢献 (モビリティ・地方創生)  

次に、『モビリティ』『地方創生』を通じた、「社会インフラ整備への貢献」に対する取組みです。 まず、『モビリティ』に関して、当社国内オート事業分野においても、「CASE」(Connected・Autonomous・Shared & Services・Electric)や「MaaS」(Mobility as a Service)といった世界的なチャレンジに対する変革を推進しています。

例えば、当社子会社で法人向けのオートリースを取り扱っております日本カーソリューションズでは、EV(電気自動車)の普及を推進しています。企業が事業活動の一環として使用している社用車などを、単なる環境対応のために導入するという目的だけにとどまらず、BCP対策や災害時における非常電源車としての活用をも視野に入れていることが背景にあります。因みに、2019年秋に襲来しました台風15号は甚大な被害をもたらし、千葉県は長期間の停電に見舞われましたが、その際には、日本カーソリューションズが手配しましたEVが、老健施設などの非常用電源としてご活用いただくことができました。
オートリースに関しましては、テレマティクスとしての通信型ドライブレコーダーである先進的な「ドライブドクター」の提供や、実際の運航データに基づく安全運転講習等のサービスにより、交通事故者の減少や燃費効率の向上にも取り組んでいます。

同じく子会社のニッポンレンタカーサービスでは 『ニッポンレンタカーアプリ』で会員登録されたお客さま向けに、レンタカー営業所での手続きを行うことなく、アプリによる鍵の開錠を行い、スムーズに出発できるサービスを既に開始しております。これは、AIやIoTの技術を活⽤した、サービス無⼈化に向けた新しい試みです。このセルフレンタカーは、車が返却されるたびに消毒・清掃もしており、お客さまに安心かつ快適にご利用いただけるよう高いサービス品質の内容となっております。

ニッポンレンタカーの取り組みについてはこちら

『地方創生』の事例については、昨年の日経地方創生フォーラムにおきまして、当社会長の浅田からも紹介させていただきました。詳細は、日本経済新聞社様が運営されております日経チャンネルや当社コーポレートサイトでもご覧いただけますので、ご参照いただければと思います。昨年夏に大分の別府にオープンしました「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」は、同ブランドとして初めて国内の温泉を併設したホテルとなっています。従業員の採用におきましても、同じく別府において国際的な教育を行っておられる立命館アジア太平洋大学とも連携しています。新型コロナウイルス感染症の影響から、残念ながら一時休業中でしたが、行政や住民の皆さまとともに、私ども事業者として、今後とも地方創生の観点から、地方の活性化や観光業の発展に繋げていければと強く感じております。

ホテル事業を通じた地方創生の取り組みについてはこちら

マテリアリティ④:持続可能な資源利用への対応 

「持続可能な資源利用への対応」に関しましては、先ほどご説明しました通り、祖業であるリースビジネスをはじめ、サーキュラー・エコノミーへの貢献に引続き積極的に取り組んでまいります。

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マテリアリティ⑤:人材力強化につながる職場環境整備    

人材力の強化、職場環境整備につきましては、SDGsに照らして、役職員一人ひとりの行動が伴い、また、それを会社として積極的に支援・サポートしていくことが、持続可能な取組みとして必要なことではないかと考えています。

サステナビリティ研修の実施

例として、従業員向け「サステナビリティ研修」を実施し、「サステナビリティ経営の推進」を理解するセッションを設けています。新たな視点でビジネス創出を検討するワークショップの開設や、当社事業とSDGsとの連関性を再確認する場ともなっております。国内外のグループ会社を含めて「サステナビリティ通信」を定期的に発行し、仕事とSDGsの関わりについての理解促進を図っています。

「働き方改革」の一環としての人事施策

従業員の柔軟な発想と社員間の交流を促すよう、オフィスレイアウトを変更しました。場所や時間を選ばない働き⽅にも対応すべく、情報漏えいリスクにも対応したシンクライアント端末を導⼊済です。現在、テレワークへのシフト要請は高まっていますが、今後、職務遂行に係る効率性向上とともに成果実感も一層高まっていくものと考えています。

「キャリアデザイン室」の新設

従業員一⼈ひとりが、主体的に⾃らのキャリアを形成できるよう、2019年度から人事部にキャリアデザイン室を配置しています。専門の資格を有する室員や外部のコンサルタントの方々からサポートを受けることができる体制を整え、キャリア設計や仕事の悩みなど、若手から中堅に至るまで、従業員の挑戦や成長こそが企業の持続的成長の礎と考えています。

「360度評価」・「従業員意識調査」

従業員エンゲージメント向上への取組みとして、360度評価や従業員意識調査を実施しています。従業員意識調査に関しては、とかくアンケート実施と結果のフィードバックに終始することに陥りやすいことから、2019年には役員研修のオフサイトミーティングにおいて集中的かつ徹底的に課題等の抽出・討議を行い、中長期的に必要な対応策も含めて役職員にフィードバックしています。こうした経営を巻き込んでの双方向のコミュニケーションの深化は、従業員エンゲージメントの真の向上に必要不可欠であると確信しています。

グループの持続的成長を支える人材の確保と育成についてはこちら

東京センチュリーのサステナビリティ経営

ここまで、当社がどのように社会課題を認識し、事業を通じてお客さまとともに解決策に取り組み、加えて、人材力強化に配慮しつつ、社内基盤整備を推進していることについて説明させていただきました。さらに広報・IR活動等を通じた当社の取組みなどの開示が、ステークホルダーの皆さまとのエンゲージメント強化や継続的なPDCAサイクルの形成・確立に繋がり、ひいては事業活動を通じた循環型経済社会の実現に貢献していくことになるものと考えています。

サステナビリティ経営の対象範囲は幅広く、これを計画的かつ着実に実行していくため、先ほど申し上げましたとおり、新・第四次中期経営計画に呼応したロードマップを策定しております。ポイントは、①取組み課題を明確にすること、②責任部署を明確にすること、③取組みスケジュールの大枠を決めることの3点です。ロードマップに従い、役職員が具体的な目標に係ることで「自分事」として体験し、PDCAサイクルを通じての現場に根差した形として、本当の意味でSDGsが浸透していくのではないかと思います。併せて、この過程を通じて、非財務目標のKPI等の開示情報を拡充することによりまして、様々なステークホルダーとのエンゲージメントもより深まっていくものと考えています。

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私もSDGs関連を担当することとなりました当初、SDGsの社内認知度も極めて低く、社内報などのインナーコミュニケーションを通じて、役職員の理解醸成や浸透を図ってまいりました。

SDGsを展望していくうえで、環境への対応力がなければ今後の企業としての存立基盤は揺らぎかねないと考えられます。SDGsが目指す社会の実現のために、社会課題の解決をビジネスへの契機・誘引と捉えていくスタンスがなければ企業としての競争優位性も確立できないことになってしまうのではないかと思われます。社外取締役を含めた取締役会からのトップダウンアプローチと、現場密着型での各役職員の日常での地道な活動に裏打ちされましたボトムアップアプローチのベストミックスこそが、今後の当社のSDGsの更なる推進に向けたドライバーであり、サステナビリティ委員会と当該推進セクションの機能と実行は、その潤滑油であるとともに触媒でありたいと、私としましては常日頃から考えているところです。

足元の状況から、現在では多くの企業の皆さまをはじめテレワークを推進されているかと思いますが、先行している米国の当社子会社が直近で提供してくれました簡単なTIPSをご参考までに紹介させていただきます。DECENT WORKの観点から、EMPLOYEE EXPERIENCEを向上させていくことが重要です。こうした具体的ノウハウの共有など、グローバルなコミュニケーションは一層緊密になってきており、同じグループ内において学ぶところも多いと実感している次第です。

7 Ways to Improve Work-Balance When Working at Home

① Get dressed

きちんと着替えて気持ちを切り替えることが生産性アップにつながるようです。

② Create and maintain a designated work space

マイオフィスとでも言いますか、自分の仕事専用の場所を確保するということになります。
仕事場にいる間は、きっとご家族も仕事中だと理解してくれるはずです。

③ Effectively communicate

どうしても意思疎通や業務の流れに滞りを感じることが発生してしまいがちです。
チャット、テレビ会議、電話を利用して、定期的な同僚などとのコミュニケーションが欠かせないところです。

④ Block out time to focus on specific tasks

特定の業務に集中する時間を作ることが望まれます。
家事や子供のことで仕事に集中できない事もあるかもしれませんが、特定のタスクのスケジュールを組むということです。

⑤ Take breaks

コロナウイルスと在宅勤務の狭間で皆さんもきっとどこかで閉塞感を感じていらっしゃると思います。
在宅勤務では、オフィス勤務時のように同僚と雑談をしたり、昼食に出かけるなど休憩に入るきっかけがありません。
そこで、まずはコンピュータから離れましょう。

⑥ Learn to “turn off” your work

仕事とプライベートのバランスを上手に取ることは、私達の幸福感や健康、そして生産性にも関係しています。
労働時間を決め、できる限りこれを守り、業務終了時間になったらノートパソコンを閉じ、携帯電話を置くということです。
他方、企業としても、皆さんの個々のプライベートな時間を大切にしているということを忘れないことが必要です。

⑦ Make time to unwind

仕事時間からプライベート時間に自分を切替えるきっかけになるような日課があると、仕事のオン・オフを切り替え易くなります。
例えば、仕事が終わったら散歩やストレッチをして、脳に、「今は自分のための時間」という風に、切り替わったと伝えましょう。

SDGsは、それぞれの企業のビジネス特性やビジネス構造に合わせて、背伸びし過ぎず中長期的な展望を絶えず持ちながら、一歩一歩着実に進めていくことが肝要ではないかと考えています。「SDGsウォッシュ」に安易に陥らないということです。当社としましても、これまで自由な経営環境のもと、様々なビジネスを創出してきた強みを生かし、今後とも、マテリアリティにも掲げております国内外の皆さまとの多様なパートナーシップによる新たな価値創造を目指して、引続き社会課題の解決に挑戦・貢献していきたいと考えております。

馬場高一

馬場高一

取締役 専務執行役員 経営企画部門長

2014年東京センチュリーリース(現東京センチュリー)執行役員に就任。2018年より同社サステナビリティ委員会委員長を務める。岐阜県岐阜市出身。1985年東京大学法学部卒業、1992年米国ペンシルベニア大学ロー・スクール卒業。

(記事の内容、肩書などは掲載当時のものです)

日経SDGsフォーラムの講演動画はこちらからご覧ください。

オンライン開催にて実施しました

2020年5月14日開催 日経SDGsフォーラム シンポジウム
企業講演 Shaping the Next Decade 信頼されるサービス・事業パートナーとして
社会課題の解決に貢献するために
東京センチュリー 取締役 専務執行役員 経営企画部門長 馬場 高一