信頼されるサービス・事業パートナーとして、社会課題の解決に貢献するために

当社は2009年に、東京リースとセンチュリー・リーシング・システムが合併し、昨年合併10周年を迎えました。前身の東京リースは、今から56年前の1964年東京オリンピックの年の創業です。祖業のリースでは、工場の機械設備やオフィスの情報機器、店舗の什器備品等を主としてファイナンス・リースで取り扱ってまいりました。これらのモノの取り扱いは、いわゆる3Rと呼ばれます、リデュース・リユース・リサイクルを伴う循環型のビジネスモデルであり、そういった意味では、当社は生まれつきサステナブルの血が流れています。また、経営理念にも、環境に配慮した循環型経済社会の実現に貢献することを掲げています。

11年前の合併当初は、祖業である国内リースが資産規模で約8割を占めていましたが、リース会計基準の改定やマイナス金利の導入により、ファイナンス・リースの需要が落ち込む中で、当時単純なリースだけでは生き残れないという危機感を持っていました。そうした中で、当社は規制に縛られない自由な存在であることを生かして、オートビジネスや船舶・航空機・不動産・環境エネルギー等の新しい事業を成長のエンジンと捉え、積極的に取り組むことにより事業領域を拡大してまいりました。現在、国内リース・国内オート・スペシャルティ・国際の4つの事業分野が事業の柱になっています。

パートナー戦略

当社のビジネスモデルの特徴は、パートナー戦略にあります。4つの事業分野が営むそれぞれの事業において、各業界の主要な優良企業とアライアンスを組むことにより、当社が持ち合わせていない、個々のプロジェクト運営に必要な専門性をカバーすることができます。また、当社単独では対応できない規模のビッグプロジェクトも、パートナー企業との協業により対応可能となります。現在のところ、国内外にこういった親密パートナーが約50社あり、東京センチュリーの成長に欠かすことのできない大きな財産となっています。

東京センチュリーのSDGs

東京センチュリーでは2018年に「サステナビリティ委員会」を立ち上げ、その事務局として「サステナビリティ推進室」を設置し、取締役会とも連携しながら、より実践的な活動を指向してまいりました。具体的にはSDGsの17のゴール、169のターゲットに対して、東京センチュリーグループのビジネスとの関連付けを行い、共通の基盤である多様なパートナーシップの活用による新たな価値創造のもと、5つのマテリアリティ・重要課題を掲げました。

具体的には
①低炭素社会への貢献
②技術革新に対応した新事業創出
③社会インフラ整備への貢献
④持続可能な資源利用への対応
⑤人材力強化につながる職場環境整備、です。
当社グループではこのマテリアリティに沿って、数多くのプロジェクトを推進しています。

事例1:二国間クレジット(JCM)

JCMは、2015年にパリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議、通称COP21において安倍首相がスピーチの中で提案し、合意された市場メカニズムを活用した制度です。具体的には、投資額の一部について我が国が補助金を提供することにより、途上国向けに優れた低炭素技術を導入し、これによりCO2の削減が実現された際に、その一部を日本の排出削減量として計上できる仕組みです。
現在日本は、タイ・インドネシア・フィリピンをはじめ、17か国をパートナー国として、このJCMを構築しています。東京センチュリーは代表事業者として現地の共同事業者とパートナーシップを組み、優れた低炭素技術を活用した発電事業などを手掛けるとともに、プロジェクト期間にわたり当該事業のモニタリングを行います。従って、この事業の代表事業者となるには、「環境エネルギー事業への高い知見」、「グローバルに広がる営業ネットワーク」、「事業全般を長期間モニタリングできるマネジメント力」が必要となります。

ピンチアウトで図を拡大

東京センチュリーは2012年から京セラとの共同出資により、再生可能エネルギーである太陽光発電事業を日本全国で展開しています。土地の賃借から施工、運営までワンストップの対応を可能にした仕組みをつくり、現在まで70か所、300MW以上の容量の発電所が稼働しており、クリーンエネルギーへの取り組み、知見は業界屈指です。さらに、当社は連結ベースで30以上の国と地域にグローバルな営業ネットワークを有しています。また、事業のマネジメント力については、当社は早くからリースだけのビジネスから脱皮し、金融×サービス×事業にチャレンジしており、こういった高度な事業は、当社のビジネスモデルの具現化につながるものと考えています。また、途上国においては、日本の環境エネルギー製品の品質が高く評価される一方で、他国の製品と比べて割高のため、なかなか導入が進まないというジレンマがありますが、このJCMを活用することにより、品質の高い日本製品の採用促進も可能となります。

タイ・サハグループの事例

当社はこの2年間で6件のJCMプロジェクトを手掛けました。本年度も2件のプロジェクトがスタートする予定で、タイでは現地の財閥であるサハグループとJCMを活用した25MWの大規模太陽光発電事業を開始します。大切なことは、途上国自身も環境問題の重要性を主体的に認識し、環境意識を高めることです。途上国自ら最新の低炭素技術を学び、プロジェクトの運営に積極的に関わることにより、クリーンなエネルギーを確保するだけでなく、SDGsのほかの目標、例えば働きがいや経済成長、産業と技術革新の基盤づくり、住み続けられる街づくりの課題克服等にも波及していくことが重要です。SDGs は誰一人取り残されないことを目指し、先進国と途上国が一体となって達成すべき目標で構成されているのが特徴です。今回の事例のように、途上国が積極的に参加していくプロジェクトであるJCMはSDGsの推進にとって極めて有効といえるのではないでしょうか。環境省ではJCMを更に拡げていくために、今般、新しい枠組みを考案されました。当社の社員も枠組み設計のお手伝いをさせていただき、JCMリースというスキームが出来上がりました。これにより、弊社以外のリース会社でも容易に参入できる仕組みが整っています。また、地方自治体、例えば大阪市は途上国にある友好都市との都市連携において、ワークショップを開催されていますが、そこでは当社の社員が登壇し、JCMやファイナンスについて説明させていただいています。
こういったことに限らず、当社の社員のSDGsへの取り組み意識は高く、トップダウンではなく、ボトムアップの活動となっているのが、当社の特徴です。

顧客満足度の次は地球満足度

昨年弊社は合併10周年を迎えるにあたり、SDGsを推進する中、「顧客満足度の次は、地球満足度。」を掲げましたが、JCMはまさにこの象徴的なものとして今後も推進し、地球規模でのSDGsのムーブメントに微力ながら貢献していく所存です。

事例2:車を通した安心・安全の取組み

東京センチュリーグループのオート事業は、レンタカー事業を全国で展開するニッポンレンタカー、法人向けオートリースでNTTとの合弁会社である日本カーソリューションズ、個人向けオートリースのパイオニアでオリエントコーポレーションとの合弁会社であるオリコオートリースの3社で構成しています。
日本カーソリューションズは高いサービス品質をビジネスの拠り所として掲げ、オートリース業界でも屈指の業容を誇る会社です。

100年に一度の変革の波(CASE)

さて、昨今自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えていると言われています。これを端的に表現したのが、2016年、ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツが、これからの車の在り方として提唱したCASEという言葉です。「Connected」「Autonomous」「Shared & Services」「Electric」の4つの頭文字をつなげてCASEと呼んだものです。内容を簡単に説明しますと、C=Connectedは車に通信機能を付加し、様々なサービスを提供すること。またA=Autonomousは自動運転技術、S=Shared & Servicesは所有から利用への転換、レンタカーやカーシェアといった必要な時だけ車を借りることを指します。最後のE=Electricは電動化、EV電気自動車を増やそうとするものです。このCASEはSDGsと深く関連しています。すなわち、車に通信機能を搭載することにより、車の状態や道路の状況を事前に把握し、車の故障を未然に防いだり、交通渋滞を回避するのにもつながります。また、自動運転技術を使い、交通事故を削減したり、運転のムラをなくすことにより、エネルギーロスも減らせます。さらに、シェアリングサービスが進めば、車を必要な時だけ借りればいいので、車の総保有台数を減らすことができ、EV車の導入は、化石燃料消費の削減にもつながります。

ドライブドクター

CASEを提唱したメルセデス・ベンツだけでなく、自動車業界はまさに100年に一度の大変革時代を迎え、危機感にあふれており、各メーカーがこぞって新しい車の在り方について提案を開始しています。そういった中で、日本カーソリューションズもこのCASEとSDGsを関連付けて推進しています。例えば、C=コネクテッドでは独自で開発した通信型のドライブレコーダーである「ドライブドクター」の活用により、危険運転やヒヤリハットのイベントを抽出し、顧客企業の交通事故削減に貢献しています。また、このドライブドクターを使い、社用車の運行データを診断することにより、稼働が低い車、すなわち余剰となっている車両を割り出すことができます。
余剰車両が減ることで、当社とのリース契約が減少し、短期的にはビジネスにマイナスとなりますが、顧客にとって役に立つ提案をすることで信頼関係が深まり、新たなビジネスチャンスが生まれることにつながってまいります。顧客満足が先、我々の利益は後と割りきり、常に顧客本位の立場に立った業界最高水準のサービスを提供することが大事だと思っています。

ピンチアウトで図を拡大

EVを活用したSDGsへの貢献

CASEの中で最もSDGsと関係性が深いのが、温室効果ガス削減効果が高いEV車両の導入です。世界的に見ても、EV100という国際ビジネスイニシアチブが2017年に発足し、企業における電気自動車の使用や、充電器等の環境整備促進を目指しており、本年4月時点でグローバルでは69社、日本でもNTTをはじめ5社が加盟しています。日本カーソリューションズとしてもEVを積極的に推進しましたが、EVは車両価格がガソリン車に比べ同一車種では100万円ほど高く、また場合によって充電設備も必要となるため、導入コストが割高になり、環境問題のアピールだけではコスト意識の厳しい一般企業への導入は進まないのが現状でした。
そのような中、ある自動車メーカーの方から、北海道で発生した胆振東部地震による大規模停電でブラックアウトの中、EVを所有する一軒のお宅だけ明かりが煌々と灯り、非常用電源として大変役に立ったという話を聞きました。

EVが災害発生時の非常用電源となり、BCP対策として本当に機能するのであれば、リース料が割高になるといったコストの問題はある程度解決するのではないかと考えました。この考えのもとに日本カーソリューションズの整備工場にEV車両を持ち込み、様々な実証実験をしました。その結果1台のEV車両のバッテリー活用により、一般家庭で使用する電気の3日間程度を賄うことができることを確認しました。その後は災害発生による停電時対応として、EVを電源にスムーズにつなげることができるよう、社内で繰り返し訓練を実施しました。

災害時の事例

2019年9月、台風15号が首都圏を襲い、千葉において長期間にわたる大規模停電が発生しました。その際、当社の親密パートナーであるNTTから声がかかり、千葉市の複数の社会福祉施設にEVとパワコンを合同で持ち込み、非常用電源を確保することができました。居住者やスタッフの皆さまからは、スマホの充電や、暑さ対策として扇風機や冷蔵庫が利用できて、大変喜んでいただけました。

このような貴重な経験を踏まえて、環境対応に加えてBCPとしてのEVの活用を全国レベルで推進したところ、大企業のみならず、中堅中小企業の皆さまも関心を示していただき、EV車のリースの引き合いが一気に増加しました。
最近は50年に一度、100年に一度といわれる自然災害が年間を通じて、全国いたる所で発生しています。 温室効果ガスを抑制し、地球環境を悪化させないために、ガソリン車からEV車へ転換促進することは、オート事業を生業とするものの責務だと考え、今後もさらに推進してまいります。

東京センチュリーとして取り組むべき今後の課題

1:太陽光パネルの利活用

一つは太陽光発電事業の終了後におけるパネルの利活用です。国内における太陽光発電は、20年間にわたる固定価格買取制度、いわゆるFIT制度がスタートした2012年以降多くの事業者が参入し、メガソーラーといわれる1,000kW以上の発電所が全国に数多く建設され、稼働しています。従って、このFIT期間の満了を迎える2030年代には多くのメガソーラーの発電事業終了により、大量の太陽光パネルが産業廃棄物となる可能性もあります。現時点においても、毎年自然災害で被害を受けたメガソーラーで、まだ使用可能な太陽光パネルが一定量出てきますが、再利用の事業化についてはまだコスト面などの課題が多いため、現状はスクラップ処理が主となっています。このままでいくと、将来使用済みの大量の太陽光パネルで最終処分場があふれかえり、場合によっては不法投棄による環境汚染の懸念もあります。そうなるには未だ時間があるとはいえ、今のうちから再利用の道筋を立て、サーキュラーエコノミーを確立する必要があります。

2:EV電池の二次利用

EVについても電池の二次利用が様々な角度から研究されていますが、現時点においては、いまだ有効な方法が確立できていません。EV電池の二次利用が確立すると、リース満了時の電池の評価が高まることで、残存価格を引き上げることができるため、EVの導入コストが低下し、ひいてはEV化の促進につながります。太陽光パネルやEV電池の再利用といった極めて重要で大きな課題については、一企業だけで行うにはなかなか困難です。東京センチュリーも多くのビジネスパートナーの皆さまと知恵を出し合いながら活動し、近い将来必ず有効利用の道筋を見いだしていきたいと考えています。

私がこの業界に転じた12年前、いろいろな方からリースはもう時代遅れで、競合が厳しく生き残りは不可能と言われました。しかしながら、最近はマイナス金利の影響もあり、金融セクター全般の評価が低下する一方で、リース会社は新しい金融業態として、各方面から注目を集める存在となっています。このことは、リース業界を挙げて現状に危機感を持ち、社会的意義があり認められる事業に取り組んできたからに他ならないと確信しています。その中にあって、東京センチュリーは規制に縛られない自由な存在として、伝統的なリースにこだわらず、グローバルでも珍しい存在である金融機能を持つ事業会社として、新しい金融・サービスを創出してきました。今後もリース業界を代表する中の1社として、社会に役立つサービスや事業を積極的に提供していく所存です。

東京センチュリーグループも、新型コロナウイルス感染症の影響を少なからず受けていますが、当社は過去にもリーマンショックや東日本大震災による混乱を乗り越えるたびに成長を遂げてきたという文化が根付いております。今回もアフターコロナの時期には、一回りも二回りも大きくたくましくなった姿で社会に貢献するとともに、2030年SDGsに向かって汗をかいていきたいと考えています。

野上 誠

野上 誠

代表取締役社長

2008年東京リース(現東京センチュリー)取締役に就任。2011年に取締役執行役員副社長、2015年より日本カーソリューションズ株式会社代表取締役社長を兼務、2020年4月より現職。福岡県福岡市出身。

(記事の内容、肩書などは掲載当時のものです)

日経SDGsフォーラムの講演動画はこちらからご覧ください。

2020年9月1日開催 日経SDGsフォーラムシンポジウム
企業講演 :東京センチュリーとSDGs ~変化を乗り越えたくましい社会へ~
東京センチュリー 代表取締役社長 野上 誠