サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定いたしました
- お知らせ
1. はじめに
東京センチュリー株式会社(以下、「当社」)は、サステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワーク(以下、「本フレームワーク」)を策定しました。当社は本フレームワークに基づいたサステナビリティ・リンク・ボンドの発行およびサステナビリティ・リンク・ローンの実行を通じて、投資家および幅広い市場関係者に、当社の長期ビジョンの実現へ向けた取り組みを示し、推進していきます。
1.1 会社概要
当社は、国内のリース事業を祖業として、オートリースやレンタカーを中心とするオートモビリティ事業、航空機・船舶、不動産、事業投資を中心としたスペシャルティ事業、世界30以上の国と地域に拠点網を有する国際事業、環境・エネルギーを中心とした環境インフラ事業を展開し、伝統的なファイナンス・リースからサービスや事業運営などビジネスの幅を広げています。
当社は経営理念に掲げている「環境に配慮した循環型経済社会の実現」に向けて、気候変動への対応を重要な成長機会として認識し、全社一体となって取り組みを推進しています。
1.2 本フレームワークが参照する原則およびガイドライン
本フレームワークでは以下の原則およびガイドライン等において推奨される主要な要素への対応を示しており、これらの原則等との適合性に対する第三者評価を株式会社格付投資情報センター(R&I)より取得しています。
・サステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP) 国際資本市場協会(ICMA)、2023
・ サステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン(SLBGLs) 環境省、2022
・ サステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP) ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)他、2023
・ サステナビリティ・リンク・ローンガイドライン(SLLGLs) 環境省、2022
2. 当社グループのサステナビリティ経営
2.1 サステナビリティ経営の考え方
当社のサステナビリティの根源は、金融・サービス企業としてステークホルダーの皆さまとともに持続的な成長と企業価値の向上を図り、循環型経済社会の実現に貢献することにあります。SDGsの目標を読み解き、10年後・20年後の未来を想定し、必要とされる金融・サービスの創出を志向するバックキャスティングのもと、サステナビリティ経営を推進しています。
2.2 中期経営計画2027
当社は、2023年5月に掲げた「中期経営計画2027 - TC Transformation and Sustainable Growth -」において、将来の持続的な成長に向け「ポートフォリオ」「人材・組織」「グリーン」「デジタル」の4要素の変革を図り、変化を創造する企業グループを目指すことを基本方針として位置付けています。
また、同じく中長期的な企業価値向上のためESGの推進を基本方針として掲げ、「循環型経済社会実現への貢献」、「人的資本投資の拡充と社会課題解決に向けたインフラ整備への貢献」、「ガバナンスの実効性強化」に取り組みます。
2.3 当社のマテリアリティ
当社は事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、社会と当社の持続的な成長と企業価値向上を図るサステナビリティ経営を進めるため、主要なESG評価や非財務情報開示基準とSDGsの17の目標・169のターゲットを紐付け、ステークホルダーにとっての重要度を決定し(縦軸)、続いて、当社の経営理念や財務情報を同様にSDGsと紐付け、当社にとっての重要度を決定(横軸)しました。2つの軸をもとにマテリアリティマップを作成し、サステナビリティ委員会、取締役会での議論を経て、5項目のマテリアリティを特定しました。
東京センチュリーのマテリアリティ(重要課題)
2.4 サステナビリティ経営の推進体制
サステナビリティ経営戦略は、当社の中期経営計画における重要な骨格です。事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会と当社の持続的な成長と企業価値向上を図るサステナビリティ経営を進めるため、SDGsに対応するマテリアリティの取組みを推進し、進捗状況を確認するPDCAサイクルを構築しています。
当社は、サステナビリティ経営に関わる審議機関としてサステナビリティ委員会を設置し(2018年4月~)、原則年2回開催しています。サステナビリティ委員会で審議された重要事項については、経営会議および取締役会へ報告・審議を行い、取締役会の監督を受ける体制を構築しています。サステナビリティ委員会は取締役経営企画部門長が委員長を務め、サステナビリティを重要な経営課題と認識し、マテリアリティへの対応をはじめとするさまざまな取組みを進めています。サステナビリティ委員会の事務局は、全社サステナビリティの企画・推進および総括を所管するサステナビリティ推進部が務めています。
また、サステナビリティ委員会は、リスク管理の観点で気候変動リスクを取り扱う総合リスク管理委員会と連携しています。「気候変動リスク」については、非財務のリスクカテゴリーである「オペレーショナルリスク」の一つに位置付け、年2回、「非財務情報のリスク指標」として総合リスク管理委員会を通じ、取締役会にモニタリング結果を報告する体制を構築しています。
2.5 カーボンニュートラル方針
当社は、「脱炭素社会への貢献」をマテリアリティに掲げ、気候変動・環境への取組みを通じたクリーンエネルギー普及への貢献を進めております。当社連結子会社である周南パワー株式会社(以下「周南パワー」)が保有するバイオマス混焼発電所の商業運転開始に伴い、当社グループの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロを目指す「2040年度カーボンニュートラル方針」を策定いたしました。
2.6 周南パワーのトランジション戦略
周南パワーが保有するバイオマス混焼発電所は、商業運転開始に伴い策定したトランジション・ロードマップに基づき、今後、バイオマス混焼比率を高めていくとともに、将来的な技術面での進展などを前提に、燃焼効率の高いブラックペレットの導入や、GHGを排出しないアンモニア混焼へのトランジションに向けた対応を進めていくことで、2040年度をターゲットにGHG排出量の早期実質ゼロ化を目指します。
3. ICMA「サステナビリティ・リンク・ボンド原則」及びLMA「ステナビリティ・リンク・ローン原則」に示された5つの要素への適合
サステナビリティ・リンク・ボンドおよびサステナビリティ・リンク・ローンは、あらかじめ定められたサステナビリティ/ESGに係る目標を達成するか否かによって経済条件が変化するファイナンス手法をいいます。債券の発行体/ローンの借入人は、当初定めた時間軸の中で、将来の持続可能性に関する成果の改善にコミットします。具体的には、発行体/借入人があらかじめ定めた重要な評価指標(KPI)とサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)による将来パフォーマンスの評価に基づいた金融商品であり、KPIに関して達成すべき目標数値として設定されたSPTsを達成したかどうかによって、発行する債券/ローンの条件が変化します。また、グリーンボンド/ローン等とは異なり、調達資金の充当対象が特定のプロジェクトに限定されず一般事業目的に使用されることが多く、本フレームワークも特定の資金使途は想定しておりません。
本フレームワークは、ICMAが定めるサステナビリティ・リンク・ボンド原則(SLBP)2023およびLMA等が定めるサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)2023に適合しており、以下5つの要素について定めています。当社は、このフレームワークに基づき、SLBの発行またはSLLの実行による資金調達をします。
1. KPIの選定
2. SPTsの測定
3. ローンの特性
4. レポーティング
5. 検証
3.1 KPIの選定
本フレームワークに基づき発行/実行するサステナビリティ・リンク・ボンド/ローンでは、以下の指標をKPIとして選定します。当該KPIは、「中期経営計画2027」、「2040年度カーボンニュートラル方針」に資するものです。
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KPI |
|
KPI1 |
BEV保有台数※ |
---|---|
KPI2 |
電動車(EV,FCEV,PHEV,HV)比率※ |
KPI3 |
航空機事業(ACG)の省燃費機材比率 (省燃費機材の資産残高比率) |
KPI4 |
中古PCの年間販売台数 |
KPI5 |
年次有給休暇取得率 |
KPI6 |
男性育児休業取得率 |
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2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
|
---|---|---|---|
BEV保有台数 |
競争上の理由により、非開示とさせていただきます。 |
||
電動車(EV,FCEV,PHEV,HV)比率 |
16.0% |
16.8% |
18.4% |
航空機事業(ACG)の省燃費機材比率 |
42.9% |
50.4% |
56.0% |
中古PCの年間販売台数 |
405,055台 |
247,456台 |
327,017台 |
年次有給休暇取得率 |
72.7% |
75.6% |
78.8% |
男性育児休業取得率 |
100.0% |
100.0% |
100.0% |
3.2 SPTsの測定
本フレームワークに基づき発行/実行するサステナビリティ・リンク・ボンド/ローンにおいては、発行する債券/ローンに応じて以下のSPTを設定します。設定するSPTについては、各サステナビリティ・リンク・ボンド/ローンの発行/実行に係る書類(債券:法定開示書類(訂正発行登録書・発行登録追補書類を予定)、ローン:金銭消費貸借契約書及びその他関連契約)にて具体的に特定します。なお 、SPTs はファイナンス期間全体を通じた取り組みとなる必要があることから、SPTの目標年度を2025年度に設定するファイナンスについての償還/返済期限は2028年3月末、2026年度に設定するファイナンスについての償還/返済期限は2030年3月末をそれぞれ目途とします。また、当社は必要と認められる場合、本フレームワークを適宜見直します(万が一KPIやSPTsを変更する必要が生じた場合)。
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SPTs |
|
SPT1 |
競争上の理由により、非開示とさせていただきます。 |
---|---|
SPT2 |
競争上の理由により、非開示とさせていただきます。 |
SPT3 |
2025年度:72.0%※1 |
SPT4 |
2025年度:241,000台以上 |
SPT5 |
70%以上を維持※2 |
SPT6 |
100%を維持※2 |
3.3 債券/ローンの特性
本フレームワークに基づき発行/実行するサステナビリティ・リンク・ボンド/ローンは、SPTsの達成状況に応じて財務的・構造的特性が変化する予定です。ファイナンス実行の都度、具体的な変化内容を社内プロセスに基づき議論・設定の上、債券の開示書類もしくはローンの契約書類等にて開示する予定です。
① 利率の優遇
判定日において個別商品毎に設定されたSPTsの達成状況に応じて、判定日の直後に到来する利払日より償還まで、債券の法定開示書類やローン契約書等において定める年率分、利率が低下します。
② 寄付
判定日において個別商品毎に設定されたSPTsの達成状況に応じて、償還までに、債券の法定開示書類やローン契約書等において定めた金額を、環境保全活動、地域社会への貢献等を目的とした公益社団法人、地方自治体をはじめとする組織等に寄付を実施します。寄付先については、必要な機関決定を経て決定します。
3.4 レポーティング
当社は、レポーティング日の属する会計年度の前会計期間をレポーティング対象期間とし、KPIsのレポーティング対象期間における実績値、SPTsのレポーティング対象期間における達成状況などの情報を、サステナビリティ・リンク・ボンドの場合は、東京センチュリーのウェブサイトにて公表する予定です。なお、サステナビリティ・リンク・ローンの場合は、ローンの貸し手に対してのみ(シンジケートローンの場合は、エージェントを通じて貸し手に対してのみ)報告します。
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No. |
レポーティング内容 |
レポーティング時期 |
---|---|---|
1 |
KPIのレポーティング対象期間における実績値 |
サステナビリティ・リンク・ボンド/ローンの発行/実行後、 |
2 |
SPTsのレポーティング対象期間における達成状況 | |
3 |
KPI、SPTsに関連する、発行体の最新のサステナビリティ戦略に関する情報 | |
4 |
SPTsが未達で寄付を実施する場合、寄付先、寄付額、寄付の実施時期について |
3.5 検証
当社は、本フレームワークに基づくファイナンスにて採用したKPIsの実績について、独立した第三者から検証報告書およびSPTsの達成状況についての判定を年次で受けます。取得した検証報告書および判定結果について、サステナビリティ・リンク・ボンドの場合は、東京センチュリーのウェブサイトにて公表する予定です。なお、サステナビリティ・リンク・ローンの場合は、ローンの貸し手に対してのみ(シンジケートローンの場合は、エージェントを通じて貸し手に対してのみ)報告します。
以 上