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【前編】ウェルビーイングな職場づくりは現場から~メンタープログラムの仕掛け人に聞く、人と組織の「幸福」とは?~

2023年8月30日

近年、人的資本の重要性が高まる中で、社員の働きがいや⽣産性向上のために、心身ともに満たされた状態を表す「Well-being(以下、ウェルビーイング)」という概念に注目している企業は多いのではないでしょうか。 2023年をウェルビーイング元年と位置付ける東京センチュリーでは、東京センチュリーNEWSを通じて、職場環境の改善につながる取組や有識者によるウェビナー、社長対談などをウェルビーイング企画としてお届けする予定です。今回は、取組の一例として、国内リース事業分野のメンタープログラム発起人でありキャリアコンサルタントも取得している、執行役員 末兼 英治さんにインタビューをしました。

執行役員 リース営業支援部門長 末兼 英治

執行役員 リース営業支援部門長 末兼 英治

コロナ禍以降、現場に漂っていた閉塞感

――国内リース事業分野では、2022年度より若手社員と先輩社員がペアになって対話をするメンタープログラムがスタートしています。立ち上げの背景にはどのような課題があったのでしょうか?

末兼さん(以下、末兼):私がリース営業統括部長に着任した2021年度は、折しもコロナ禍2年目を迎え、デルタ株の出現により緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返される日々が続いていました。営業の基本であるコミュニケーションの環境が激変し、対面で会話をする、または行動を共にするといった、それまでごく当たり前だったことに制限がかかりました。お客さまとの商談においてもオンライン対応を余儀なくされるような環境が続くなかで、当時はオフィス全体にもどかしさや少し暗い雰囲気があったように思います。

――閉塞感が漂っていた、いうことでしょうか?

末兼:現場では一体何が起きているのかをヒアリングしたところ、情報発信や営業支援機能の低下、部署を超えたコミュニケーションがままならないといった声が多く寄せられました。現状把握を進める中で特に優先度が高いと感じられた課題は、コロナ禍以降に入社した若手社員のモチベーションです。

どの先輩社員達も自分たちの時代とは異なる環境で社会人としての一歩を踏み出した若手社員を心配し、何かできることはないかと思いを巡らせていました。メンタープログラムは現場の誰もが共通して抱えていた、このような課題認識がもとになって動き出した取組です。

末兼さん:「メンタープログラムに至るまでには、ランチミーティングやアンケート調査なども実施しました。」

末兼さん:「メンタープログラムに至るまでには、ランチミーティングやアンケート調査なども実施しました。」

メンタープログラムはWell-being(ウェルビーイング)な職場に必要な「ナナメ」の関係性を構築

――コミュニケーション不足の改善や若手社員のモチベーション向上のために、メンタープログラムという施策を選んだのはなぜですか?

末兼:メンタープログラムは、心理的安全性が保たれた良好な職場環境を実現するための施策のうちの1つです。心理的安全性が保たれた良好な職場環境とは、端的に表現すれば「個人が幸せを感じられる環境(=ウェルビーイング)」といえるでしょう。個人の幸せは、仕事がうまくいくというだけで感じられるものではありません。むしろ幸せだからこそ仕事がうまくいく、と考えるべきでしょう。そしてその幸せは、他者とのつながりによって実感することができると私は考えています。

この点に着目して導入を決めたメンタープログラムは、直接的な上司と部下、あるいは同期といったタテとヨコの関係性ではなく、違う部署の、普段は接点のないような社員同士をつなぐことで「ナナメ」の関係性構築により「組織図を超えること」つまり「フラットな組織づくり」を目指しています。

――社員が幸せを感じることができるウェルビーイングな職場環境を実現するための施策は、メンタープログラム以外にもあるのでしょうか?

末兼:メンバーと管理職をつなぐ重要なポジションである次長が、メンバーのキャリア自律を支援できる人材を目指すための「ミドルマネジメント研修」や、業務における知識やノウハウを共有する「ナレッジラボ」などにも取り組んでいます。これらもメンタープログラムと同じく、社員の皆さんが抱える課題感が起点となって生み出された施策です。

――組織への影響という点ではいかがでしょうか?

末兼:組織の成長の原動力となるのは個人の成長であり、個人のパフォーマンスは一人ひとりの幸福感に影響をうけると言われています。一例をあげると、幸福感の高い社員とそうでない社員とでは創造性において3倍、生産性において1.3倍の差が生まれ、組織の数値でいえば売上は37%、一株当たり利益は18%の向上が見られるといった研究データもあります。

「幸福」のためには何が必要なのか、人と組織の最適な関係性とは?

――ウェルビーイングへの理解や考え方は、どのように培われたのでしょうか?

末兼:これまでのキャリアによるところが大きいですね。私にとって「人と組織の最適な関係性」は長年関心を持っているテーマです。営業の現場にいた頃から、人材のバリューアップを果たすためにはどんな施策が効果的だろうかということをよく考えていました。キャリアコンサルタントの資格を取得したのも、人と組織に対する強い興味からです。

コロナ禍において、人と人との繋がりやふれあいを通じて感じていた「幸せ感」が少なくなっていきました。「人が幸せを感じるとは何か?」「幸せを感じながら働ける職場とは?」と思案するなかで「幸福学」というものに出会いました。幸せになるためには、「自己実現と成長」「つながりと感謝」「前向き・楽観的」「自分らしさ」の4つの要素が大切だと提唱されています。

一方で、ポジティブで幸せな組織づくりにおいては、「フラットな関係」「平等な発言機会」「非言語のコミュニケーションが活発」などの特徴があるとされています。メンタープログラムでは「ナナメ」の関係性構築を含めて、これらに着目し設計しています。

末兼さん:「『人と組織』をテーマとした、書籍を読んだり、ウェビナーに参加したりすることはとても面白いです。」

末兼さん:「『人と組織』をテーマとした、書籍を読んだり、ウェビナーに参加したりすることはとても面白いです。」

社員目線のハンドメイドなWell-being(ウェルビーイング)をこれからも追求し続ける

――メンタープログラムがスタートして1年が経ちました。変化をどのように感じていますか?

末兼:まだ定量的な成果が出せる段階にはありませんが、個人的には少し手ごたえを感じています。メンタープログラムに参加した第1期のメンバーからポジティブなフィードバックが得られ、それが2期目に繋がったことが、何よりも嬉しく感じました。

――メンタープログラム以外にも、これから予定されている施策などはあるのでしょうか?

末兼:今年度も「人と組織」に関わる取組を推進していきます。新たなテーマとして「女性活躍」を掲げています。ただし、男性主導ではなく、女性が主体となった取組を目指していきたいと思っています。また、次長の下の階層にあたるマネージャー向けの研修やキャリア採用者向けのイベントなども展開していく予定です。

各個人が自律し、自身の役割やなすべきことを主体的に行うことで、結果として創造性も生産性も高いウェルビーイングな組織に向かっていくのではないでしょうか。

人事部とも密に連携を取りながら、独自にボトムアップで取り組んでいくことが波及して全社の機運が高まり、ひいては、「中期経営計画2027」でも掲げている「東京センチュリーのHRX」につながっていくと信じています。

HRX:TCXの4要素のうちの1つ。変化を想像できる人材育成・確保と組織の整備のこと

HRX:TCXの4要素のうちの1つ。変化を想像できる人材育成・確保と組織の整備のこと

当社で働くすべての人が快適な環境でパフォーマンスを発揮し、思い思いのキャリアを描けるよう、これからも社員目線のハンドメイドな職場環境づくりにこだわってまいります。

末兼 英治(すえかね・ひではる)

東京センチュリー株式会社 リース営業支援部門長 執行役員

1987年旧・センチュリー・リーシング・システム入社。2010年当社東北支店長、 14年首都圏営業第三部長、19年事務統括部長。2022年執行役員 リース営業推進部門長補佐。23年より現職。

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