リースを祖業とする当社は、事業環境の変化や社会・お客さまのニーズを機敏にとらえ、レンタカーや不動産、航空機、環境・エネルギーなどさまざまな事業領域に進出してきました。積極的なM&Aとパートナーシップ戦略の推進により、グループ会社の輪は国内外に広がっています。
組織が複雑化・グローバル化していく中で、管理部門はどのような役割を果たしているのでしょうか。今回は若手社員の視点から当社における経理部の役割についてご紹介するとともに、マネジメント層が考える「目指す姿」と「若手社員への期待」についてもお伝えします。
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国内外のグループ会社をまとめ上げる共通言語
――2019年の入社以来、経理部に在籍されていますね。
経理部 右近 悠人(以下、右近):就職活動を進めていく中で、どのような業界・職種であっても海外とのやり取りが発生するだろうと感じていました。そこでビジネスにおける「共通言語」を持つこと、特定分野に対する知見やスキルを磨くことが必要だという意識が高まりました。当社は選考段階において、そのような私の思いを実現できそうな部署をいくつか提示してくれ、その一つが経理部でした。
――具体的にどのようなお仕事をされているのですか?
右近:経理部の仕事は、①連結決算、②単体決算、③税務・管理会計、④内部統制・経費管理の4つの業務ごとにグループがあり、私は連結グループに在籍しています。国内外のグループ会社から報告される決算書のチェックと四半期ごとに連結財務諸表を作成するのが大きなミッションです。海外の関連会社に適用される会計ルールの把握はもとより、担当する各社の事業内容やBS・PLのトレンドまで、連結グループのメンバーには、幅広い経理知識が求められます。現在私は主に米国の会社を担当しており、Tokyo Century(USA)Inc.(以下、TCUSA社)と、2016年にグループの一員となったCSI Leasing, Inc.(以下、CSI社)を中心に、各社の経理担当と日々やり取りを重ねています。
Tokyo Century(USA)Inc.(本社:米国・ニューヨーク州)...1985年設立。近年は中小型トラックや樹木整備機器を主要商材とするリース・ファイナンス事業を北米における成長ドライバーの1つと位置付け、ディーラーを相次いで子会社化。リース・ファイナンスの提供から販売・アフターサービスまでを担う「ワンストップ・サービス」体制を構築。
CSI Leasing, Inc.(本社:米国・ミズーリ州)...IT機器のFMVリース(※1)とITADサービス(※2)等を組み合わせたITライフサイクルマネジメントサービスに強みを持ち、世界50ヵ国以上でサービスを提供するグローバル大手のリース会社。
(※1)FMVリース:
リース期間終了後にお客さまが物件返却、買取、リース延⻑等オプションを選択し、その際の取引価格をFMV(Fair Market Value=公正市場価格)で決定する柔軟性に富んだリース契約。
(※2) ITADサービス(IT Asset Dispositionサービス) :
情報管理・環境保護等コンプライアンスに準拠した安全かつ適切な方法によりIT機器を処分するサービス。
――入社1年目にコロナ禍(2020年1月〜)が重なりました。業務を習得するうえで不安はありませんでしたか?
右近:実は入社するまで会計の知識はほとんどありませんでした。1年目はOJTの先輩社員が行う業務を一つずつなぞっていくことから始め、また外部研修の受講や書籍による自学を通じて徐々に仕事を覚えていきました。出社時も在宅勤務時も、上司や先輩社員から丁寧な指導を受けたので、コロナ禍で自身の成長が制限されたという感じはしませんでしたね。
パートナーシップ戦略を支える存在として
――決算以外に特徴的な業務があれば教えてください。
右近:営業部門から入る照会に対応しています。当社はパートナーシップ戦略を強みとしており、取引先企業と新たに合弁会社を設立したり、金融ストラクチャーを活用した企業への出資を検討したりすることも少なくありません。そのような場面では、会計・税務面におけるメリットやリスク要因について、営業部にアドバイスを行うことも重要な業務です。
会計基準やルールを順守することはもちろんですが、営業部門の意向をくみ取り、当社にとってベストな着地となる方法を模索します。契約書や法令は独特の表現も多く分かりづらいものですが、それらを隅々まで読み込んで、特例的な会計処理が可能となる材料を探すこともあります。これには学生時代に法学部で学んだバックグラウンドが生かされているかもしれません。上司に確認のうえ、監査法人と根気強く議論し、最終的に関係者が納得する会計処理ができた時には、大きな手ごたえを感じます。
――かなり密接に営業現場と連携しているのですね。
右近:はい。会計基準に照らし合わせてすぐに回答できる照会もあれば、監査法人への確認が必要なものなど、軽重さまざまですが、常に心掛けているのは「杓子定規に物事を判断せず、実現に近づけるための努力を惜しまない」ということです。また、経理部には現在、「キャリアチャレンジ制度※」を活用し異動してきた営業経験者2名が在籍しています。そういったメンバーが経験してきた営業現場の「生きた会話」や知見は、部署全体の視野を広げるとともに、会計処理に対する理解を深めることにも繋がっていると感じます。
※人材を募集する部署が求める要件を開示し、応募者の中から人材を登用する社内公募制度。2020年度より導入。
海外グループ会社との初対面、プロフェッショナリティを目の当たりに
――最近、米国へ初めて出張したそうですね。
右近:経理部のメンバーが国内のグループ会社を訪問することは時々ありますが、海外は稀です。今回は社長・馬場の出張に同行し、TCUSA社とCSI社、そしてCSI社の子会社でITADサービスを提供するEPC, Inc. (以下、EPC社)の工場を訪れました。
CSI社は2016年の完全子会社化以来、飛躍的な成長を続けており、その原動力となっているのがITADサービスです。リース満了後のIT機器がEPC社の工場に搬入され、データ消去や機器の破砕処理が行われます。普段目にしていた決算書からEPC社が収益に貢献していることはもちろん理解していましたが、それがまさに目の前で行われている様子に圧倒されました。社長によれば、前回訪問した5年前と比べて処理・売却予定の機械・部品が目に見えて増えており、今回の出張で事業規模の拡大を肌で感じ取れたそうです。
――CSI社の経理チームとも初めてお会いしたそうですが、印象を教えてください。
右近:CSI社の経理チームは約20名で構成されており、人種などのバックグラウンドは多様性に富んでいます。特に印象的だったのは経営陣とチームメンバー、そしてメンバー同士の距離感がとても近く、非常にフレンドリーな雰囲気であったことです。経理と一言でいっても、メンバーそれぞれが管理会計や法人税といった専門領域を究めています。プロフェッショナルとしてお互いを尊重しているからこそ育まれる風土かもしれません。また、他社で長年にわたって専門性を高めCSI社に入社されてきた方も多く、今後コミュニケーションを深めていく中で彼らから学んでいきたいです。
――今回の出張で得たものを、経理部にどのように還元していきたいですか。
右近:現在CSI社は週3回のリモートワークを原則としていますが、私の出張に合わせて出社してくれた方も多く、ほとんどのチームメンバーと対面できました。これまではメールによるコミュニケーションが中心でしたが、短時間とは言えお互いの人となりを知ることができたのは大きな収穫です。ビデオ会議等でも把握しきれないような細かなニュアンスやお互いの意図を理解するのに、今回の経験を役立てることができそうです。
今回は出張が急遽決定したこともあり、英語も流暢に話せるほどのレベルではなかったので緊張はありました。ですが、「両社の経理組織の連携を、より強固なものとするための第一歩を築く」という目標は達成できたのではないかと思います。他の経理部メンバーも、機会があればぜひグループ会社を訪問して欲しいです。
常に営業部門に寄り添い、"相談しやすい"経理部に
――今後の目標を聞かせてください。
右近:当社は「その挑戦に、力を。」をコーポレートスローガンに掲げ、「金融×サービス×事業」の3軸を融合したビジネスモデルによってお客さまの課題解決・事業拡大を支えています。また、会社は従業員の挑戦の姿勢を重視し、制度整備と企業風土醸成の両面から一人ひとりの成長を後押ししています。営業現場との連携についてご紹介しましたが、当社が何か新しいアイデアや施策を推進しようとした際に、常に「相談しやすい」部署・ビジネスパーソンでありたいです。
また、当社には4つの事業分野があり、私は各事業分野におけるグループ会社の経理業務を一通り経験してきました。会計処理の側面から各社に対する理解をさらに深めていくと同時に、今後は税務にもチャレンジしたいです。
マネジメント層が考える、経理部の目指す姿と若手社員に期待すること
会計・税務の専門知識×ビジネスリテラシー=プロフェッショナルな集団へ(経理部長より)
事業拡大・連結経営管理の高度化といった経営環境が変化していく中、当社経理部は、会計・税務の専門性を高めるとともに、営業部門やグループ会社と密接にコミュニケーションをとっていくことにより、会計・税務の知識のみならず、ビジネスリテラシーを兼ね備えた人材を育て、プロフェッショナルな集団となっていくことを目指しています。それが社内・グループ各所への適切な支援へとつながっていき、ひいては東京センチュリーグループの成長にも寄与していくことができると考えています。
片岡
積極的に自身の考えの提案を(経理部次長より)
経理部の担当者の皆さんには、社内外の関係者から「頼りにされる存在」となることを期待しています。そのためには、会計・税務の知識を身につけるのはもちろんのこと、相手の意図を汲み取り、自身の知見に基づく適切なアドバイスを行う必要があります。昨今はコロナ禍ということもあり、メールでのコミュニケーションが中心とならざるを得ないこともありますが、状況に応じて電話や対面でのコミュケーションも活用し、相手の問い合わせに回答するだけに留まらず、間違いを恐れることなく、自身の考えを積極的に提案してもらいたいです。
住田
右近 悠人(うこん・ゆうと)
東京センチュリー株式会社 経理部
2019年入社。経理部にて連結決算・開示を主に担当。入社1年目はタイ、現在は米国の会社を主に担当。仕事を進めるうえでのモットーは、「相手を尊重し、丁寧に、粘り強く」対応すること。
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