Sustainability

社名変更から5年 業態を表す「リース」を外した決断に込められた想いとは…?

2021年10月1日

2016年10月、私たちの社名は「東京センチュリーリース」から「東京センチュリー」に変わりました。なぜ社名を変える必要があり、新社名にはどのような思いが込められているのか。社名変更までの間にどのような紆余曲折があったのか。そして5年が経った今、どのような変化がみられるのか。どんな未来を志向していくのか。東京センチュリーグループの各所のメンバーの声、想いを連載で追っていきます。今回は第1回として、社名変更の直接的な旗振り役となった当時のプロジェクトメンバーである、取締役専務執行役員の馬場高一さんと広報IR部長の山下圭輔さんに、当時を振り返っていただきました。

新社名を決定する過程では、ゼロベースで徹底的な議論が交わされていた

広報IR部⻑ ⼭下圭輔(左)∕取締役専務執⾏役員 ⾺場⾼⼀(右)

広報IR部⻑ ⼭下圭輔(左)∕取締役専務執⾏役員 ⾺場⾼⼀(右)

――2021年10月1日で社名を変更し5年が経ちます。当時、なぜ社名を変更することになったのでしょうか?

山下さん:東京センチュリーは、2009年にセンチュリー・リーシング・システムと東京リースが合併してできた会社です。合併以降、現在の4つの事業分野の一角を占めるに至った国内オート、スペシャルティ、国際事業という新たな領域の拡大が顕著に見られるようになりました。合併直後は国内リース事業分野がセグメント資産の8割を占めていましたが、オートリースやレンタカーや太陽光発電、航空機、不動産など、モノ価値を有する資産を対象にしたビジネスも積極的に展開し成長してきました。もはや「リース」の範疇にとどまらない事業を、実際に多く手がけていることが理由の一つです。

馬場さん:もう一つの理由は、組織としての決意を示すためです。今後、東京センチュリーが成長していくためには金融を超えたサービスを幅広く提供できる事業会社に進化していく必要があるという認識が社内に生まれていました。その決意を、内外に明確に伝えるのであれば、社名を変えるくらいの大胆なアクションが必要なのではないかと、議論が始まりました。

――社名変更の経緯を教えてください。

馬場さん:正式に社名を変更したのは2016年10月ですが、初動は2年前までさかのぼります。2014年9月ごろ、社名変更について初めて役員研修会の場で内々に議題にあげられました。

山下さん:その後、経営会議や取締役会でも何度となく議論が持たれ、2016年5月、第三次中期経営計画の公表と併せて新社名が発表されました。

        

――新社名はどのように決まったのですか?

山下さん:社名変更には一般的にいくつかのパターンがあるかと思います。1つ目は経営陣のトップダウンにより定めるパターン、そして社員も広く参画し公募などを実施するパターンです。当社は、本件を機密案件として、馬場さんと私が2人で主に事務局となり、経営会議や取締役会でさまざまな角度から議論をしました。役員の方々とは個別面談を行い、それぞれの意見、描く将来のビジョンなどを伺いながら、どのような社名に変更すべきか、いくつかの方向性を作っていきました。社名変更自体そうあることではありませんので、他社の傾向や、どのように変更しているかを調べたり、皆さんのあらゆる疑問にお答えしながら、社名変更の意義を丁寧にお伝えすることを意識していました。

馬場さん:役員間で意見交換する際は基本的にゼロベースで考えつつも、「変えない」「現状からのアレンジ」「まったく新しい社名」の3つの選択を常に念頭に置いていました。
それぞれのメリット、デメリットを皆さんと細かく検討するうちに、少しずつ方向性が見え始めてきましたね。積み重ねた歴史を尊重する意味でも、やはり「東京」と「センチュリー」は外せないのではないか、という声が多かったことはよく覚えています。

          

山下さん:現状のブランドイメージを残しつつ、たとえば「東京センチュリー」に続けて「ファイナンス」「ソリューション」「キャピタル」などの、「金融」をイメージしやすい言葉を付け足すアイデアもありました。

馬場さん:国内オート事業、スペシャリティ事業、国際事業がいくら成長期待分野とは言え、現実には当時、資産の過半を国内リース事業が占めていました。よって「東京センチュリーリース」はまだ実体もリース会社である、変えなくてもよいのではないかという声もありました。
しかし、未知の領域に挑み続ける私たちの企業姿勢を貫くためには、「リース」「金融」のような限定的な枠組みからの脱却は避けて通れません。業態にしばられず、過去に根差しながらも未来を見すえて無限の可能性を追求する。未来の変化を先取りするくらいの姿勢が必要だ。このような想いを込めて、徹底的に議論を尽くして「東京センチュリー」を新社名にすると決定したのです。

事業開拓の機運が醸成されると共に人材の多様性が加速する

――実務の面で苦労したエピソードはありますか?

山下さん:新社名発表までは実質的に馬場さんと私だけで事務局として担当していました。2016年5月に新社名が公表されてからは、10月の正式な社名変更までのプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、その約5か月は、とにかく時間との闘いでしたね。社名が係るものは多岐にわたります。法的な手続き、金融機関への手続き、コーポレートサイトのリニューアル、各種印刷物の作り直しなど、社名変更に伴うあらゆる作業をどの部署が担うのかリストアップすることから始め、漏れがないか逐一チェックしながら、PT内で連携し進めました。
特に、海外現地法人の英文名の登録変更が大変でした。国によって法律も申請手続きも異なるため、四苦八苦の連続だったことが印象に残っています。

馬場さん:全社的に反映させなければいけない業務は膨大で、支店の看板、封筒と文書類、メールアドレスのドメインなどと、きりがありません。
奔走してくれた山下さんとPTのメンバーはもちろん、多くの方々のご協力がなければとても間に合わなかったと思います。

         

――社名変更に対する社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

山下さん:特に国内リース事業分野に身を置く社員の皆さんにとっては、心理的な抵抗感や不安が小さくなかったと思います。「リース」を外すということはリース事業がメインではなくなるのでは、と。決してそうではない、リースは当社の祖業で重要な位置づけであることは今後も変わりませんと、関係各所に丁寧に説明することを心がけました。
士気の低下を防ぎ、モチベーションを高く保っていただくためにどうすればいいのかは、むしろこれをチャンスと受け止めてもらうことが社名変更当時の大きなテーマでしたね。

馬場さん:結果として、皆さんにも社名変更を機に、一人ひとりがより大きな視野を持って可能性を追い続けられるようになり、社名変更に込めた決意が近年の新たなビジネスの創出に反映されているのではないかと感じています。

          

――具体的に、どのような変化を感じていますか?

馬場さん:リースの経験を糧に、新しい分野の事業を果敢に開拓しようとする機運がさらに高まっていると感じています。オールドエコノミーから、デジタル技術を活用したニューエコノミーへの転換も着々と進んでいます。
単なるPDCAサイクルに終始するのではなく、個人の創造性や市場の動向を加味した、いわゆるOODA*ループによる複合的なビジネスアプローチが多くの部署で主流になるのではないかと、そんな期待を抱いています。
*OODA: Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)。一度きりの実行ではなく、調整しながら何度も実行を繰り返す(ループする)こと。

山下さん:社風も変化しつつあり、商社的な感性で働く社員が増えたような気がします。金融のノウハウを活かし、モノの価値を引き出し独自のサービスを模索するといった意識が浸透してきている何よりの証だと思っています。また、合併後に入社した新卒社員やキャリア採用の社員が増えたことで、多様性が加速していると実感しています。

経営理念の刷新によって、東京センチュリーの事業は循環型経済社会への貢献そのものであると再認識

          

――2016年10月の社名変更と時期を同じくして経営理念も刷新されました。「循環型経済社会の実現に貢献」という言葉に決まった経緯を教えてください。

山下さん:当時の社内資料を読み返すと「ESGの観点から循環型経済社会づくりを担う存在として事業活動を行う」と、注釈がつけられていました。
「ESG」という言葉自体がまだ世の中にそれほど浸透していない頃でしたが、リース物件を扱う企業として3R(リデュース・リユース・リサイクル)の意識がそもそも根付いていたからこそ、この表現に行き着いたのだと思います。

馬場さん:3Rはリース会社としての責務・使命そのものです。私たちはモノに対して、それこそ新品の状態から廃棄までの全サイクルを網羅する必要が前提としてあります。
リサイクルの意識が国内で社会的に高まったのは、おそらく2000年に制定された循環型社会形成推進基本法がきっかけです。2015年にはEUが発信したサーキュラーエコノミーの概念が世界的に広まっていました。企業活動と環境低負荷を両立しながら「循環型経済社会の実現に貢献」することは、私たちにとってはごく自然なことだったのかもしれません。

――SDGsの取り組みが活発な今、東京センチュリーの経営理念は社員の皆さんに浸透していると思いますか?

山下さん:馬場さんが先に述べたように、私たちは3Rの概念を実践するとともにモノ価値を主体としたライフサイクルマネジメントを推進しています。リース物件をお客さまに貸し出し、契約満了後には廃棄物処理法にのっとって廃棄処理、またはリサイクルを行う。加えてセカンダリーマーケットを含めてモノを循環させていく。
このような流れはさして珍しくない通常業務の一環として身についているため、事業を展開することがすなわち循環型経済社会の貢献につながると考えています。

馬場さん:加えて、経営理念を社員の皆さんがどう感じているのかも大切にしたいと考えています。
経営理念を体現する担い手は、東京センチュリーの役職員一人ひとりです。日々の業務を通じて社会課題の解決につながり、企業を成長に導いていくためには皆さんに過度の負担がかかってしまっては元も子もありません。
目指すべきは循環型の社会であり、持続可能な社会です。誰もが満たされた気持ちで伸び伸びと働ける環境を整備するという想いも、経営理念には含まれてると考えています。

グローバルな一体感をたよりに、激変し続ける未来を共に切り拓きたい

         

――ありがとうございました。最後に、今後の展望を教えてください。

山下さん:社名変更時に思い出深いのは、2009年の合併時、旧社名に対する配慮から、日本語では「東京センチュリーリース」、英語の社名では「Century Tokyo Leasing Corporation」となっていました。社名変更を機に旧社融合の一体感を打ち出す意味からも「Tokyo Century Corporation」と、和英どちらも並びを統一しようと提案しました。思い切った決断ではありましたが、変更してみると海外現地法人においても同じ一つのグループであることを自覚するようになったと、嬉しい反応が見られました。それ以降も、東京センチュリーグループはどんどんグローバルに拡大している一方、グループとしての一体感はますます強くなっているように感じます。一丸となって、さらなる進化を遂げられたらと思います。

馬場さん:新・第四次中期経営計画では、10年後に、「信頼されるサービス・事業パートナー」として「多様な人材が活躍・融合するグローバル・コーポレート・グループ」を目指すと明言しています。目標を実現するためにも、社員の皆さんのエンゲージメント向上に継続的に取り組んでまいります。
多様な能力と専門性を存分に活かし、既成概念にとらわれない柔軟な発想で、挑戦を続ける環境を作っていくことが使命だと感じています。私も一緒に未来を共に切り拓いていく決意です。

         

馬場高一(ばば・こういち)

取締役専務執⾏役員

2014年東京センチュリーリース(現東京センチュリー)執行役員に就任。2018年より同社サステナビリティ委員会委員長を務める。

山下圭輔(やました・けいすけ)

広報IR部⻑

1989年 旧センリュリー・リーシング・システム㈱ 入社。2014年から経営企画の業務に携わり、社名変更・第三次中計策定を担当、2016年経営企画部副部長、2017年から広報IR部長

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです

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