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DX人材育成は終わりのない旅。その一歩を、今、踏み出した

2023年12月6日

東京センチュリーが進めるDX戦略は、「顧客提供価値の向上」「社内業務プロセスの生産性向上(現場業務改善)」「DX人材育成」「システム置換」を4つの重点テーマに掲げています。
DX戦略の重要な土台である人材育成。デジタルスキルを身に付け「自らを変革し、変化を創造する」人材となるために描かれたロードマップとはどのようなものなのでしょうか? 今回は、新たにスタートしたDX人材育成プログラムの概要と狙いを、執行役員 人事部門長の乙部俊幸さんとDX戦略部の高野信作さんに聞きました。

執行役員 人事部門長の乙部俊幸さん(左)とDX戦略部の高野信作さん(右)

執行役員 人事部門長の乙部俊幸さん(左)とDX戦略部の高野信作さん(右)

DX人材育成の真の目的は個人の意識改革、そして挑戦を応援する企業文化の醸成

――まずは乙部さんに伺います。人事部門長として、DX人材育成の必要性をどのように感じていますか?

乙部さん(以下、乙部):2009年の合併以降、私たちは祖業である国内リースに加えて、オートモビリティ、スペシャルティ、国際、環境インフラなど高い専門性が求められる事業分野を拡大してまいりました。それぞれの事業展開において増え続ける業務は、従業員一人ひとりの献身と創意工夫に支えられています。

しかし、このままでは遠からず限界がくるのではないかという危機感を抱いています。目の前の業務に追われるあまり一人ひとりの「考える力」が少し弱まっているのかもしれません。個性豊かな人材が揃っているので、その個性を十分に発揮することができれば、さらに強い組織になると信じています。

デジタル技術は、現場にかかる負荷を軽減するための有効なツールです。デジタル技術を駆使し、社内ルールの見直しやアナログ業務のデジタル化などを実現できれば、人的・時間的なリソースにゆとりが生まれ、そのゆとりを新たな価値の創造に振り向けることができるでしょう。
ゆとりある時間を活用して自ら率先して学び、果敢に挑戦し続ける。組織は個人の学びや挑戦を見守り、応援し、具体的に手助けする。このような組織へとさらなる進化を遂げるために、DX人材の育成は必要不可欠であると認識しています。

乙部さん「人事部門を管掌する立場として『DX人材育成』の実現に向けて、より深くコミットしていきたいと、自身に使命を課しています」

乙部さん「人事部門を管掌する立場として『DX人材育成』の実現に向けて、
より深くコミットしていきたいと、自身に使命を課しています」

――具体的に、DX人材育成のゴールをどのように考えているのでしょうか。

乙部:今年5月策定の「中期経営計画2027」では持続的な成長に向けた変革を目指すTC Transformation(TCX)を基本方針に掲げており、そのための「TCX実現に向けたDX人材育成プログラム」が7月より動き出しています。

DX人材プログラム:3階層化し、役割機能、目指すべきゴール(DX人材像)を定義

DX人材プログラム:3階層化し、役割機能、目指すべきゴール(DX人材像)を定義

本プログラムは実践に生かせるDXスキルを身に付けた人材の輩出を一つの成果に定めています。しかし、このこと自体が最終的なゴールというわけではありません。新中計の冒頭でも触れている通り、今、世の中はものすごいスピードで変化し続けています。

自分自身に対して、あるいは組織や社会に対して、一人ひとりが積極的に変化を生み出す側であり続けることが何より大切です。よって、DX人材の育成に「これで十分」という安易なゴールは存在しません。個人の意識改革と、挑戦を応援する企業文化の醸成・定着こそが、真に目指す到達地点です。

組織としての人材育成の方向性や、ビジネスの世界でデジタルによるパラダイムシフトがどのように起きているのかといった前提を誰もが理解した上でDXの必要性を自分ごととして感じ取り、現状への危機感を持つこと。そして、学ぶことの価値と喜びを再認識しながら、成長への意欲を高め続けること。DX人材の育成は「自らを変革し、変化を創造する」ための"終わりのない旅"と言えるでしょう。

DX人材育成イメージ

          

人材育成のキーワードは「自己変革力」「創造力」「挑戦心」

――「自らを変革し、変化を創造する」ために、どのようなマインドが求められるのでしょうか?

乙部:組織の成長において強いリーダーシップが求められることは確かですが、今はもはや、それだけで全てがうまくいくという時代ではありません。企業は特定の誰かのものではなく、株主、取引先、パートナー、そして従業員、さまざまなステークホルダーとの関わりによって成り立っています。

このような観点から、強い組織、強い現場を築き上げるためには強い人材が根幹となることは明らかで、DXの領域に限らず、東京センチュリーの人材育成の方向性は、「自己変革力」「創造力」「挑戦心」の3つを大きな軸としています。

――「自己変革力」「創造力」「挑戦心」の3つを個人が身に付けることで、組織も大きく変わると?

乙部:はい。これから先、まったく新しいパートナーとの共創ビジネスを生み出し、事業分野が6つ、7つと拡大することもあるでしょう。私たちはポジティブな可能性を信じて事業を展開しています。成功体験も失敗体験も糧にして、どのような状況であれ「次は何をしようか」と意欲が持続するような好循環を生み出す環境を整えていきたいと思います。

乙部「帰宅途中に歩く時間を設けて、一日を振り返るようにしています。そうすることで思考が整理できて良いアイデアが浮かびます」

乙部「帰宅途中に歩く時間を設けて、一日を振り返るようにしています。そうすることで思考が整理できて良いアイデアが浮かびます」

――ありがとうございました。最後にお聞きします。DX人材育成の施策は、これからどのように推進されていくのでしょうか?

乙部:すでに動き出している「TCX実現に向けたDX人材育成プログラム」は【基本】【実践】【先端】の3つの階層に分かれたカリキュラムを用意しており、オンラインで受講する【基本】のカリキュラムは、経営陣を含めた全従業員が対象です。東京センチュリーの数ある研修プログラムやeラーニングの中で、全従業員を対象にした取り組みは今回が初めてのことです。

一人ひとりが創造的な挑戦への意識を高め、その挑戦を称賛し応援する企業文化を根付かせられるよう、人事部門のトップとしてこれからも全力を尽くしてまいります。

乙部人事部門長へのインタビューに続いて、「TCX実現に向けたDX人材育成プログラム」の運営に関わるDX戦略部の高野さんへのインタビューをお届けします。

DX人材の育成は、「学び続けることの習慣化」

――「TCX実現に向けたDX人材育成プログラム」の基本的な構成を教えてください。

高野さん(以下、高野):今回のプログラムは「学び続けることの習慣化」をテーマにしています。当社は「自ら変化を創造する」ということを掲げていますが、変化の激しいVUCA時代において、学び続けることをしなければ、そこに対応していくことは難しいと考えています。そこで、今回学び続けるためのプログラムを設計しました。

まず、DXに対する正しい理解を得るためのDX-Standard【基本】を、全従業員に受講していただきます。この段階でのコンテンツは全10テーマを用意しており、オンラインで6時間39分の受講を必修と定めています。その後、人員を選抜しながらDX-Leader【実践】、DX-Professional【先端】とステップを踏んでDXに関するスキルを身に付けていただき、データ分析にたけた「ビジネス・テクノロジスト」と新規事業を創出する「ビジネス・イノベーター」を養成する。このようなロードマップを描いています。

――社内の他の研修と比較してどのような違いがあるのですか?

高野:経営陣を含めた全従業員が受講することに加えて、【基本】のカリキュラムに、外部コンテンツだけではなくIT推進部の皆さんが制作したオリジナルコンテンツが含まれていることは大きな特徴と言えます。例えば「データ駆動経営」「サイバーセキュリティ」といったテーマで制作されたITのスペシャリストたちによるオーダーメイドのコンテンツは当社の現状に沿った内容となっており、実に分かりやすく、核心を端的に捉えたクオリティーに仕上がっていると思います。

――指定された6時間のオンライン講義でDXの基礎は身に付くのでしょうか?

この約6時間の講義は、実践に生かせるスキルを身に付けていく前段階において必要不可欠な基礎が十分に詰まった内容であると考えています。先ほど申し上げた通り「変化が激しい外部環境に直面している」ということ、そして「変化に対応していくために学び続けることが大切」という認識を全従業員が持ち、DXの基礎となるITリテラシーを身に付けることを重視しています。

高野「業務で活用してもらう知識やスキルについては、その先の実践や先端プログラムで学びを深めていただく想定です」

高野「業務で活用してもらう知識やスキルについては、その先の実践や先端プログラムで学びを深めていただく想定です」

――【基礎】の先の【実践】【先端】の選抜はどのように行われるのでしょうか?

高野:現場目線による選抜を主軸としています。DX推進のために立ち上げられたDXタスクフォースには重点テーマとなる「現場業務改善」「顧客提供価値」「システム置換」「DX人材育成」の4つのワーキンググループがあるのですが、それぞれに抽出されたDX関連の課題に対して、ワーキンググループのメンバーたちがDX-Leader候補となるコア人材を自ら選抜する、という形です。

コア人材が現場の課題やゴールに沿って必要なスキルを学び、DX-Leaderとして各事業分野のDX推進を担います。また、さらにそこから選抜されたDX-Professionalは、最終的にDX戦略部やIT推進部に所属し、ビジネス・イノベーターやビジネス・テクノロジストとして、事業分野を飛び越えて全社横断的に活躍いただくことをイメージしています。

DX人材育成イメージ

           

実践的なDX人材の育成プログラムで、未来のビジネス・イノベーターを創出

――運営の担当者として、DX人材の育成にはどのような意義があると感じていますか?

高野:組織としては、顧客や市場に提供できる新たな価値を創造するための施策である、ということは間違いありません。さらに、当社で働く皆さんに新たなキャリアの選択肢を提供したいという想いもあります。デジタル関連のスキルや資格は、例えばビジネスの現場にデジタル技術を導入するビジネスアーキテクト、AIやビッグデータを活用するデータサイエンティスト、ユーザーが求める機能性やデザイン性を実現するUI/UXデザイナーなどといったキャリアにもつながります。

高野「プログラムを通じてデジタルスキルを身に付けて、今後のキャリア形成に大いに役立てていただきたいと心から願っています」

高野「プログラムを通じてデジタルスキルを身に付けて、今後のキャリア形成に大いに役立てていただきたいと心から願っています」

――DX人材の育成によって、東京センチュリーの未来はどう変わると想像していますか?

高野:私自身、現在はDX戦略部に所属し「TCX実現に向けたDX人材育成プログラム」の運営を行う側にいますが、自分自身も一受講者として積極的に学び、ゆくゆくは新規案件の創出や共創プロデュースを手がけるビジネス・イノベーターのキャリアを目指していきたいと考えています。

DX人材育成の施策は、あくまで実践に生かすためのものです。プログラムの受講を経て今現在の業務の効率化や業績の改善、あるいは事業分野の枠組みを越えて力を発揮するような人材が一人でも多く増えれば、こんなにうれしいことはありません。成功例が蓄積されれば、DXスキルをキャリア形成に生かすためのアドバイスを提供する社内コンサルタントのような存在も誕生し、人材の流動性が促進されることでより多様な働き方が実現されるのではないでしょうか。若手とベテランを問わず、学び続けることを誰もが習慣化できるよう、引き続き励んでまいります。

執行役員 人事部門長の乙部俊幸さん(左)とDX戦略部の高野信作さん(右)

          

乙部 俊幸(おとべ・としゆき)

東京センチュリー株式会社 執行役員 人事部門長 兼 総務部門長

1987年旧・東京リース入社。システム開発や経営企画、人事に携わる。2012年当社人事部長、2019年執行役員に就任。2021年より現職。

高野 信作(たかの・しんさく)

DX戦略部

金融機関を経て、2022年にキャリア入社。経営企画部門 DX戦略部にて、IT部門などの各関係部署と連携しながらDXタスクフォースの事務局を担当。スタートアップ連携などのオープンイノベーション関連も含めて、幅広い業務に従事する。

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです。

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