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安心安全で地球に優しいデータ消去とは?グローバル標準のITADサービスでサーキュラーエコノミーの実現を目指す

2024年7月9日

情報セキュリティの重要性が高まる現代において、IT資産の厳格かつ適正な処分が注目されています。東京センチュリーの子会社であるEPC Japanは、パソコンやサーバーなどのデータ消去や破砕処理(シュレッディング)からリユース、マテリアル販売までを手掛ける、グローバル標準かつ高品質なITADサービスを提供しています。今回は、同社の代表取締役社長 上條雅和さんへのインタビューをお届けします。

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EPC Japan株式会社 代表取締役社長 上條 雅和さん



EPC Japanという社名に込めた想い

――EPC Japanの事業について教えてください。



上條社長(以下、敬称略):EPC Japanは、パソコンやサーバーなどのIT資産を対象にしたキッティング(※1)サービスとITAD(※2)サービスを提供しています。

デバイスの各種設定や必要なソフトウエアのインストールを行いすぐに使えるようにするキッティングはいうなれば入口であり、データ消去・破砕処理(シュレッディング)による適正処分やリファービッシュ(※3)などのITADは出口です。

親会社である東京センチュリー(以下、TC)では、IT資産の導入(キッティング)から運用・管理(保守・修理)、消去、処分、再利用に至るまでのライフサイクルに合わせて、リース品にサービスを付加し、入口から出口までを一気通貫で提供するライフサイクルマネジメントサービス(以下「LCMサービス」)を提供しています。EPC Japanは、TCのLCMサービスの根幹を担っています。



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(※1)キッティング:デバイスの各種設定や必要なソフトウエアのインストールなどを行うこと
(※2)ITAD(IT Asset Disposition):情報管理・環境保護等コンプライアンスに準拠した安全かつ適切な方法によりIT 資産を処分すること
(※3)リファービッシュ:初期不良などで返品された電化製品や情報機器、あるいは一度使用された製品の修理・再生を行うこと



――社名変更にはどのような狙いがあるのでしょうか?

上條:当社の創業は2005年にさかのぼります。当時は辰巳の倉庫で事業を開始し、2017年にここ座間に移転しました。さらに2023年12月、当社の連結子会社でIT機器リースを手がけるCSI Leasing, Inc.(以下「CSI」)のグループ会社で、グローバルにデータ消去サービスを提供しているEPC, Inc.(以下「EPC」)よりグローバル標準の技術を日本に取り入れるべく、資本構成においてもCSI Japanから出資を受け、「EPC Japan」として、新しい挑戦をスタートしています。

「EPC Japan」への社名には、データ消去ビジネスをワールドワイドに展開する米国EPC社の技術を日本版にアレンジして展開する、言わば、EPCの日本法人というような位置付けを示したい、という想いが込められています。



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EPC Japanが入居している GLP座間



安心安全は当たり前、EPC Japanが提供するグローバル標準のITADとは?

――情報セキュリティに対する意識の高まりをどのように感じていますか?

上條:世界的にITADの需要が拡大傾向にある中、日本国内においても、情報セキュリティや環境法令順守に対する意識が高まっています。企業のIT資産には顧客や技術、財政などのあらゆる情報が蓄積されており、漏えい・流出があればその被害は多方面に及ぶことは明らかであることから、ガバナンス、コンプライアンスを重視する企業にとって事業運営上欠かせない重要な分野として位置付けられています。

――顧客企業のIT資産を取り扱う事業者には何が求められるのでしょうか?

上條:安心安全なデータ消去は大前提として、お客さまに安心していただくためにさらに求められるものは、「信頼」だと思います。「信頼」を図る上で分かりやすい物差しとして、国際認証が挙げられます。EPC Japanでは、ISO9001(品質)、ISO14001(環境)、ISO27001(情報セキュリティ)、ISO45001(労働安全衛生)の4つのISO認証を取得しています。
グローバル標準の規格を満たしているかどうかということが、国際的に見て信頼できる会社と感じていただける要因の一つであり、規模が大きな企業さまほどその傾向は顕著に感じます。



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――国際認証以外に、グローバル標準を掲げるEPC Japanの強みを教えてください。

上條:ITADサービスに内包される「データ消去方法」が挙げられます。
データ消去には、①ソフトウエアによるデータ消去(米国Blancco社製の消去ライセンスを使用)、②物理的破壊、③磁気的破壊の3つの方法があります。社名変更前は、②物理的破壊をご依頼いただいた際は、SSD(※4)やHDD(※5)に穴を開けて復元を不可能にするという方法を採用していました。しかしこの方法は、海外の企業さまからするとやや心もとない印象があるようです。

基本的には、データ消去後にパソコンをリユースでき、地球にも優しいことから①ソフトウエアによるデータ消去 を選択される企業さまが多いのですが、②物理的破壊を選択される場合には、日本では「穴開け」が好まれる傾向にあります。一方で、グローバルでは「シュレッディング(粉砕処理)」が主流となっています。


 

(※4)SSD(Solid State Drive/ソリッド・ステート・ドライブ):メモリーチップにデータの読み書きを行う記録装置。パソコンなどに搭載されている。
(※5)HDD(Hard Disk Drive/ハード・ディスク・ドライブ):高回転するディスクに磁気でデータの読み書きを行う記録装置。パソコンなどに搭載されている。



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上條社長「”これがグローバル標準です”ということをわれわれが啓蒙していく必要があると実感しています」



上條:当社では、TCの国際事業分野からの紹介など、グローバルに事業を展開している企業さまや外資系企業さまからの受注も多いことから、わずかな不安も払拭するべく米EPC社と同様の専用SSDとHDDのシュレッダーを新たに導入しました。現在は、SSDを2mm角、やHDDを35mm角未満になるまで裁断するシュレッディングでの物理的破壊が可能となっています。



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SSDシュレッダー



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HDDシュレッダー



生成AIの台頭や業務効率化推進により拡大するキッティングサービス

――続いて、キッティングサービスについてお聞きします。キッティングとはどのようなサービスなのでしょうか?

上條:キッティングとは、パソコンやサーバーなどの導入時に行う各種設定や必要なソフトウエアのインストールなどのセットアップ作業のことです。お客さまのご要望に応じてカスタマイズしたキッティングを行っています。あらかじめセットアップされたパソコンが納品されるため、機器導入に関するお客さまの作業負担を軽減することができます。



――キッティングはパソコンやサーバーだけが対象なのでしょうか?

上條:いいえ、対象を限定しているわけではありません。一例を挙げると、最近はAIカメラのキッティングに関するお問い合わせが増加傾向にあります。画像解析による業務の効率化や人流の分析によるマーケティングに役立つAIカメラは、人手不足をカバーし細分化するニーズを読み取るツールとして期待されています。



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――生成AIの台頭により、今後データセンターの増加が予想されますが、それによりキッティングの依頼も増えてくることが考えられるのでしょうか?

上條:データセンターが増えるということは、サーバーの導入にもつながりますので、サーバーのキッティングなどは今後増えることが予想されます。

現状では、ITADのご依頼が圧倒的に多いのですが、キッティングの依頼も徐々に増えてきています。アウトソーシングの機運は少しずつ高まっているように感じています。

また、キッティングはデバイスのOS切り替えに左右されるという側面があり、2025年10月には、Windows10のサポートが終了となることから、それを見越してパソコンの入れ替えを検討する企業さまからのお問い合わせも増えてきました。



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上條社長「今後、ITAD・キッティングともに市場の拡大が予想されますので、今のうちから
人材育成や、職場環境の整備にも注力していきたいと思います」

ITADのリーディングカンパニーとして、サーキュラーエコノミーの実現を目指す



――最後に、これからの事業展望をお願いします。

上條:昨年のデータ消去実績は約27万台、今年度は30万台半ばを目指しています。
市場全体としてはまだまだ黎明期ですが、EPC Japanでは、従来のリース満了資産に加えて、新たにお客さま所有のIT資産もサービスに含めるなど、今後の事業拡大が期待できます。ここ神奈川県座間だけではなく、日本全国で同様の水準のサービスを提供できるようにし、将来的には、40万台、50万台と伸ばしていきたいと思います。

キッティングしたパソコンやサーバーをリースに出し、リース契約期間の満了後はデータ消去をした上で、再利用できるものはリファービッシュ、リユース、マテリアル販売を通じて市場に還元するという私たちの事業は、TCが目指すサーキュラーエコノミーを体現していると自負しています。

安心安全は当然ながらタダで得られるものではありません。日本市場におけるITADのリーディングカンパニーとして、データ消去サービスを無償ではなく、対価を払うだけの価値あるサービスとして、グローバル標準の規格と価値を国内市場に広く浸透させていけるよう取り組んでまいります。

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GLP座間エントランスにて、EPC Japan TC出向者メンバーとともに




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上條 雅和

EPC Japan株式会社 代表取締役社長 

1991年、東京センチュリー(旧センチュリー‧リーシング‧システム)入社。融資部門、国内リース部門、経営企画部門の各部署でキャリアを積み、2011年に配属された情報機器営業部門ではアメリカ、中国などの海外案件を手がける。その後、資産営業部 部長を経て、2024年4月よりEPC Japan株式会社の代表取締役社長に就任。

※記事の内容、肩書きは掲載当時のものです。



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