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脱炭素社会の実現に向けて、寄付型コーポレートPPAで創る新しい社会貢献のカタチ

2023年8月4日

東京センチュリーは、2018年に初期投資ゼロで太陽光発電システムを導入できるコーポレート PPA※1を開始しました。その後、"寄付"という社会貢献での付加価値を盛り込んだ業界初のサービス「寄付型コーポレートPPA」を提供しています。
寄付型コーポレートPPAの導入により、企業にはどのようなメリットがあり、地域と社会にどのような貢献を果たすことができるのでしょうか。実際に導入いただいたメニコンの古田さま・深澤さまと、東京センチュリーの担当者である所さんへのインタビューをお届けします。それぞれのコメントには、自然環境保護と脱炭素社会実現向けた未来への想いがあふれていました。

(※1)コーポレートPPA:PPAは「Power Purchase Agreement(電力購入契約)」の略。
企業や自治体が発電事業者から自然エネルギー由来の電力を長期に購入する契約。太陽光発電所の所有者・管理者であるPPA事業者が設置した太陽光発電システムにより発電した電力を、電力使用者であるお客さまに提供するスキーム。一般的には東京センチュリーがPPA事業者となり、お客さまの工場や施設などの屋根・敷地に太陽光発電システムを設置し、同設備から発電される電力をお客さまに供給します。太陽光発電システムの稼働を維持するメンテナンスについては、PPAを提供する事業者側で負担をするため、突発的な費用発生がなく安心して再生可能エネルギーの導入を図ることが可能です。

株式会社メニコン 生産物流企画管理部 部長 古田さま(左)と渉外広報部 深澤さま(右)

株式会社メニコン 生産物流企画管理部 部長 古田さま(左)と渉外広報部 深澤さま(右)

日本で初めて角膜コンタクトレンズの開発に成功したメニコン

――まずは、メニコンさまの事業内容と太陽光発電設備を設置した各務原(かかみがはら)工場について教えてください。

深澤さま(以下、敬称略):メニコンの歴史は、創業者で名誉会長の田中恭一が日本初となる角膜コンタクトレンズの開発・実用化を成功させた1951年にさかのぼります。以来、眼内レンズや各種ケア用品を含めたコンタクトレンズ事業を中心に展開してまいりました。「より良い視力の提供を通じて、広く社会に貢献する。」という企業スローガンのもと、現在は動物医療事業、環境・バイオ事業、ライフサポート事業など幅広く展開しています。

古田さま:岐阜県にある各務原(かかみがはら)工場は、1日使い捨てのコンタクトレンズに特化した生産拠点です。2015年に新設され2020年に増床工事が完了しました。敷地面積は3万㎡ほどで、環境対応として高効率のパッケージエアコンや、節水タイプの純水製造装置などが採用されています。

寄付型コーポレートPPAで自家発電と地域に根差した寄付活動を両立

――各務原(かかみがはら)工場での寄付型コーポレートPPAの導入までには、どのような経緯があったのでしょうか?

古田:サステナブルな社会を実現するための取り組みは今やあらゆる企業活動に欠かせない要素です。環境への負荷が高い製造業は、特に強い責任感を持って様々な施策を打ち出しています。メニコンの各生産拠点でも、エネルギー消費にかかるCO2の排出量を継続的に削減するべく、かねてから省エネによる効率的な電力確保についての検討が進められていました。

検討段階では水力・風力・地熱発電といった代替手段も候補に挙がっていましたが、日照条件や敷地と建物の規模などから各務原(かかみがはら)工場では太陽光発電が最適だろうという結論に至りました。
東京センチュリーのコーポレートPPAは太陽光発電システム自体の性能もさることながら、初期投資やメンテナンスコストがかからないことも大きなメリットでした。契約を進めていく中で、新たに寄付型の提案をいただき、ぜひお願いしたいということになりました。

――寄付型の提案について、古田さんご自身はどのように感じましたか?

古田:費用は変わらないとのことだったので、メリットしかありません。ほかの太陽光発電事業者にはない仕組みでしたし、東京センチュリーの社会貢献への積極的な姿勢を感じることができました。

メニコン 各務原(かかみがはら)工場:屋根に太陽光発電システムを設置し、2023年2月より運用開始

メニコン 各務原(かかみがはら)工場:屋根に太陽光発電システムを設置し、2023年2月より運用開始

水資源を守ることはメニコンの社会的責任、森林再生プロジェクト「メニコンの森」とは?

――今回、寄付先に選ばれた「Present Tree(プレゼントツリー)」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?

深澤:飛騨高山の地で、2011年からPresent Treeという森林再生プロジェクトを認定NPO法人環境リレーションズ研究所さま(以下、「環境リレーションズ研究所」)と共に進めています。「メニコンの森」と名付けた山中の土地に苗木を植え適切に管理・生育しながら、水源涵養林(すいげんかんようりん)※2をつくることを目指しています。

古田:現在の主流であるソフトコンタクトレンズは水を使ってやわらかくしているため、レンズの製造には大量の水が必要となります。洗浄剤をはじめとしたケア用品も当然ながら水が主原料です。そのため、各務原(かかみがはら)工場やケア用品を製造するメニコンネクトの郡上工場は水の豊富な地域を選んで建設したという背景があります。

深澤:製品づくりに欠かせない水資源の保全に努めること、そのために緑を豊かにすることはメニコンの社会的責任です。寄付先は当社が選べると聞き、地域に根差した寄付活動をしたいとの想いから、Present Treeの運営元である環境リレーションズ研究所さまを選定しました。

(※2)水源涵養林:雨水による水源確保と、河川の流量調節の役割を果たす森林のこと。

メニコンの森:当初は山肌があらわになった伐採地でしたが、10年という歳月を経て、まさに

メニコンの森:当初は山肌があらわになった伐採地でしたが、10年という歳月を経て、まさに"森"のような景観へと変化。植樹活動にはメニコンの社員の方々が多く参加しています。

自然環境の保護と脱炭素社会の実現に向けて、メニコンの挑戦

――東京センチュリーに期待することを教えてください。

古田:各務原(かかみがはら)工場では、コーポレートPPAによって必要な電力の10%弱をまかなうことができています。電気料金の著しい高騰が続く中でこの割合は、決して小さくありません。東京センチュリーの寄付型コーポレートPPAは現在、メニコングループの他の工場への導入も検討しています。脱炭素社会の実現のためにできることを、これからも一緒に考えていければとても嬉しく思います。

深澤:コーポレートPPAに付随する寄付は、自然環境を守るために活用されています。他の工場で導入された際には、その地域の活性化につながるような寄付も行えればと考えています。

――ありがとうございました。最後にお聞きします。脱炭素社会の実現に向けて、メニコンさまはこれからどんなことに挑戦しようと考えているのでしょうか?

古田:各務原(かかみがはら)工場は建物の屋根に太陽光発電パネルを取り付けるオンサイトPPAを採用しました。オンサイトPPAは敷地内に太陽光発電システムを設置するため、工場によっては導入が難しいケースもあります。今後さらなるCO2削減のために、工場の敷地外に発電設備をつくるオフサイトPPA※3も選択肢に入れながら、メニコングループ全体で省エネ体制を構築してまいります。

深澤:メニコンでは、TCFD※4に賛同し、国として掲げている2050年までの脱炭素の実現に向けて取り組んでいるところです。工場の使用電力のみならず、廃材のアップサイクル※5にも注力しており、マイボトルをはじめ製品化された事例がいくつかあります。また、株主優待として「トキ保護募金」への寄付を募り、繁殖や野生復帰を支える活動も行っています。これからも業種の垣根を越えて多くの企業の方々と手を取りあい、自然環境の保護と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを意欲的に展開してまいります。

新潟県庁での「新潟県トキ保護募金」への寄付金贈呈の様子(右)

新潟県庁での「新潟県トキ保護募金」への寄付金贈呈の様子(右)

(※3)オフサイトPPA:PPA事業者が需要家の「敷地外」に太陽光発電設備を設置し、送電線を通して需要家に電気を供給する方法
(※4)TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された「気候関連財務 情報開示タスクフォース」のこと。
(※5)捨てられるはずだった廃棄物や不用品を、新しい製品にアップグレードすること。

寄付型コーポレートPPAについて、導入企業であるメニコンの古田さまと深澤さまにお話しをうかがいました。続いて、東京センチュリーの担当者である所 裕太さんのインタビューをお届けします。

"寄付"という付加価値をたす新しい社会貢献のカタチ

コーポレートPPA 主担当の所さん(左)と立ち上げに携わった法人営業第一部次長の松田さん(右)

コーポレートPPA 主担当の所さん(左)と立ち上げに携わった法人営業第一部次長の松田さん(右)

――まず、通常のコーポレートPPAはどのように開発されたのでしょうか?

:コーポレートPPAは、初期投資ゼロで太陽光発電システムを導入できるスキームとして、2018年より提供を開始しています。その後、政府のカーボンニュートラル宣言を受けてCO2の排出削減を掲げる企業が急増する中で、「太陽光発電を検討したいけれど、設備投資へのハードルが高い」「将来的にRE100※6やSBT認定※7を目指すための方法を模索している」といった課題を解決する手段として注目を集めました。

また、昨今の社会情勢に影響された世界的な電気料金の高騰も、初期投資がかからずメンテナンスフリーであるコーポレートPPAの需要を後押しました。これまでに30以上の企業に導入いただいています。

(※6)RE100:「Renewable Energy 100%」の略称で、企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際的なイニシアティブのこと。
(※7)SBT:Science Based Targetsの略で、パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標のこと。

――コーポレートPPAの需要が高まる中で、寄付型コーポレートPPAが開発された背景を教えてください。

:お客さまに太陽光発電システムの導入動機をお聞きする中で、「再生可能エネルギーを導入して企業価値を高めていきたい」という多くの声をいただきました。
そこで、再生可能エネルギーの提供とSDGs達成に向けて、企業価値の向上を図りながら社会貢献へのお手伝いができないかと考えた結果、「"寄付"という付加価値」という発想に至りました。その後、半年の構想を経て、「寄付型コーポレートPPA」をリリースしました。

所さん:「供給側の競争が激化の一途をたどる中で、独自性を打ち出すための施策として生まれたという側面もあります。」

所さん:「供給側の競争が激化の一途をたどる中で、独自性を打ち出すための施策として生まれたという側面もあります。」

寄付の輪を広げながら、コーポレートPPAのさらなる可能性を模索し続ける

――メニコンさまが寄付先に選ばれたPresent Tree(環境リレーションズ研究所)に対する印象を教えてください。

:メニコンさまは寄付型コーポレートPPAを、最初に導入いただいたお客さまです。寄付先として選定された環境リレーションズ研究所の方々と実際にお会いしてプロジェクトの活動内容をお聞きした際は、真摯な姿勢に感銘を受けました。

1本の樹を植えて育てるまでにかかる費用や作業量、年月などが非常にクリアで寄付金の用途が明確であるため、寄付での貢献を実感することができるのではないでしょうか。「メニコンの森」がこれからどう変わっていくのか、とても楽しみにしています。

――寄付型コーポレートPPAによって社会にどんな貢献ができると期待していますか?

:寄付型コーポレートPPAは、メニコンさま以外の案件でも、森づくりに取り組むNPO法人への寄付や、東日本大震災で厳しい経済状況に置かれた子どもたちの暮らしと学びを支援する活動への寄付が実現しています。寄付を通じて、SDGsの達成に向けた活動の一助となれば、こんなに嬉しいことはありません。

――今後のさらなる普及のために必要なことや課題などはありますか?

日本の寄付文化は欧米に比べて遅れをとっていると感じています。ビジネスのグローバル化によってステークホルダーが世界中に広がってきていることから、SDGs達成に向けて、その重要性や必要性はより高まっていくと考えています。そのような機運が、世の中に広く醸成されるよう、引き続き取り組んでまいります。

所さん:「寄付を通じて、SDGsの達成に向けた活動の一助となれば、こんなに嬉しいことはありません。」

所さん:「寄付を通じて、SDGsの達成に向けた活動の一助となれば、こんなに嬉しいことはありません。」

――最後に、これからの事業展望をお願いします。

:私は、社内公募制度の「キャリアチャレンジ制度」を活用し、今の部署に異動しました。前部署ではパソコンや工場設備、建設機械などのリース事業を担当していましたが、その頃から環境問題に貢献できるサービス需要の高まりを感じており、専門性を高めたいと思ったことが応募のきっかけでした。

今後は、オンサイトのコーポレートPPAの導入が難しいお客さまに対して、建物の屋根への設置だけではなく敷地外に発電設備をつくるオフサイトPPAのスキームなどの提案・検討を進めていきます。当社の不動産関連の部署と密に連携しながら、脱炭素社会の実現にたしかな足跡をのこせるよう、これからもあらゆる可能性を模索してまいります。

再生可能エネルギーの更なる普及とSDGs達成に向けて

東京センチュリーのコーポレートPPA(自家発電サポートサービス)は、2018年に他社に先駆けてスキームを立ち上げましたが、こうして所の新しい視点により「寄付型」という付加価値が加わったことを嬉しく思います。顧客の企業価値向上や環境問題に貢献するだけではなく、寄付先となる団体の活動そのものに対して少しでも多くの方々に関心を持っていただく、その一つのきっかけになればと願っています。ロケーションごとに異なる太陽光発電システムの設置条件にも柔軟に対応しながら、SDGsに資する意義のある事業を目指して、引き続きコーポレートPPAの促進に注力してまいります。

営業第一部門 法人営業第一部次長 松田より

部長 古田 真(ふるた・まこと)さま

株式会社メニコン 生産物流企画管理部

1996年入社。関工場でコンタクトレンズの製造等に従事。その後、卸営業、経営企画、子会社出向を経て現部門に異動。生産物流事業の企画管理担当として、サステナビリティ経営を実現すべく日々業務に奮闘。

深澤 尚宏(ふかさわ・たかひろ)さま

株式会社メニコン 渉外広報部 政治経済環境研究チーム チームリーダー

2003年入社。直営販売店で、コンタクトレンズ等の販売に従事。その後、マーケティング部門、人事部を経て現部門に異動。サステナビリティ推進の主担当として、持続可能な社会の実現に向けて日々の業務に従事。

所 裕太(ところ・ゆうた)

東京センチュリー株式会社 営業第一部門 法人営業第一部

2013年入社。営業第二部門にてパソコンや工場設備、建設機械などのリース事業に携わる。2021年にキャリアチャレンジ制度を活用して、現部署に異動。コーポレートPPAの主担当として脱炭素社会の実現に向けて全国を飛び回っている。

※記事の内容、肩書などは掲載当時のものです

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