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レガシーシステムの刷新から経営変革へ、モダナイゼーションの最適解とは?

2026年3月10日

経済産業省がDXレポートで「2025年の崖」を提唱してからはや数年。レガシーシステムの刷新は企業の喫緊の課題となっていますが、今なお多くの企業がその一歩を踏み出せずにいます。富士通は、自らの大規模な業務変革とシステム刷新の知見を武器に、単なるIT更新に留まらない「経営変革としてのモダナイゼーション」を牽引。さらに富士通と東京センチュリーの合弁会社であるFLCSとともに、ITとファイナンスを融合させた新たな金融支援モデルを構築しました。レガシーシステムの刷新の先にある経営変革へ向けて――。富士通の島津副社長とFLCSの岡田社長の対談から、速やかに、そして効果的に進めるためのモダナイゼーションの最適解を紐解きます。

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富士通株式会社 執行役員副社長  COO島津さま(左)とFLCS株式会社 代表取締役社長 岡田さん(右)





レガシーシステムの限界とモダナイゼーションの先にある未来

―2026年を迎えたいまも、「2025年の崖」を越えられずにいる企業があります。あらためて、モダナイゼーションを進める必要性について教えてください。



島津副社長(以下、敬称略):一般的にモダナイゼーションは、老朽化したIT資産を新しい製品やアーキテクチャに置き換える取り組みとして捉えられがちです。しかし富士通は、それを単なる刷新作業ではなく、ビジネスを次のステージへ進めるための駆動力だと考えています。DXやAIなどの最新技術を活用することで、売上や利益の拡大、事業モデルの転換、さらには環境課題への対応までつなげていく。その出発点にモダナイゼーションがあります。

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岡田社長(以下、敬称略):短期的にはシステムの運用コスト削減や業務効率化といった効果も期待できますが、重要なのはその先にあるゴールです。企業が目指すのは、顧客価値の創出やビジネスモデルの変革を通じて、社会に価値を提供し続けること。そのありたい姿から逆算すると、既存のシステムでは限界があり、モダナイゼーションは避けて通れない取り組みだと分かります。



島津:レガシーシステムは、気づかないうちに企業の成長を阻害するリスクになります。電話を例にすると、通話しかできなかった電話がスマートフォンに変わったことで、カメラ、ゲーム、各種支払いなどあらゆる機能が集約されました。通話だけで十分だと思っていた人も、新しい機能を使うことで、生活がより便利に楽しくなったと感じているのではないでしょうか。ビジネスも同じです。



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島津「モダナイゼーションによってデータ活用の幅が広がり、データドリブンな戦略立案や
新たなビジネスへの挑戦が可能になります。」


 


自ら変わり続ける覚悟が変革を導く
富士通が示すDXのリアル



―富士通は2030年度末にメインフレームの製造販売を、2035年度末に保守サポートを終了すると発表しました。



島津: 富士通は半世紀にわたりメインフレーム事業を担い、国内トップシェアを築いてきました。しかし、この事業を続けることが、日本企業のDXを遅らせる要因になりかねないと判断しました。そこで明確なデッドラインを設け、メインフレームを利用されているお客さまのモダナイゼーションを後押しすることにしたのです。今後はコンサルティングやファイナンスを含む多様な支援で、市場全体を盛り上げていきたいと考えています。



岡田:モダナイゼーションは、富士通が掲げる「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にする」というパーパスを具現化したビジネスモデルの一つです。システム刷新を通じて顧客企業の持続可能性を高めていく点に、富士通らしさを感じます。





―富士通自身のDXが、サービスの原点になっているそうですね。



島津:富士通は、IT企業からDX企業に変わることを掲げて、ITの刷新だけでなく、パーパス策定、事業モデルの転換、人事制度や組織風土の改革を同時並行で進めました。例えば、Uvanceを軸としてさまざまなサービスを取り込み、国内15社のSE子会社を統合しています。まだ途上ではありますが、約4,000あったグループ内システムを1,000に集約し、2030年までに国内外を含めて統合を完了する計画です。

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岡田:「私自身、長く富士通に在籍してきましたが、ここ数年の変革はスピードも規模もこれまでとは次元が違います。

会社が本気で変わろうとしていると実感しました」


  


―富士通が先頭を切って変わっていくことへのプレッシャーは感じていませんか。

 

島津:変わり続けることにプレッシャーはありません。むしろ、「Pleasure(プレジャー)」だと考えています。同じ場所に留まらず変革をリードできること、国内に何百万社とある中でモダナイゼーションのリーディングカンパニーとして注目されることにやりがいと喜びを感じています。




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「Not Pressure(プレッシャー) ,Just Pleasure(プレジャー)

"変化することはプレッシャーではなく、プレジャー(喜び)だと考える"」

 
 

「失敗するリスク」と「やらないリスク」
モダナイゼーションを阻む本当の壁

―モダナイゼーションの重要性を理解していても一歩を踏み出せない企業もあります。



島津: 最も重要なカギは、経営トップの理解です。モダナイゼーションはIT部門だけの取り組みではありません。経営層がDXの意義を理解せず、ベンダーに任せきりでは成功しません。
変革には痛みが伴い、成功が保証されているわけでもない。そのリスクを避けた結果、いまも崖の上に立ち続けている企業があるのだと思います。



岡田:「システムは動いているから問題ない」と先送りにしがちですが、競争力が徐々に失われていくリスクは見えにくい。私は『やらないことこそがリスクだ』と考えています。

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岡田「当社も25年間同じ基幹システムを使い続けてきましたが、このままでは今後の成長はないと判断し、

モダナイゼーションに踏み切りました」




島津:一方で、経営者の決断によって成果を上げている企業もあります。広島県のあるメーカーは、社長主導でシステム刷新を進め、AIによる需要予測を活用して売上拡大や拠点展開を実現しています。現場でも従業員がAIを使い、新たな活用アイデアが次々に生まれています。



岡田: システムが変わることで、今後は各部門の業務そのものも変わっていくはずです。例えば経理部門では、これまで売上や経費など、現場から集まってくる数字を処理し、取りまとめることが主な役割でした。しかし、データドリブンでの戦略策定が可能になると、業務は過去の集計から未来を見通すものへと変化していきます。業績やキャッシュフローのデータを基に次の成長投資につなげていく──そうした形で、経理は経営と成長を支える役割へと転換していくでしょう。これは経理に限った話ではありません。物流、営業、総務、人事といった各部門においても、モダナイゼーションを起点に業務のトランスフォーメーションが起こっていくと考えています。





資金の壁が、変革を止めないために
富士通×FLCSが提供するモダナイゼーションの最適解

―モダナイゼーションの先送りは、コストやキャッシュ管理が足かせになっているケースもあります。



岡田: そうですね。モダナイゼーションが進まない背景には、経営者の意思決定という上流の課題がありますが、現場に目を向けると、より具体的なハードルが存在します。例えば、『システム刷新に伴う初期費用の一括払いによるキャッシュの負担』や、『新旧システムが並行稼働する期間に発生する二重コスト』などです。

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岡田:こうした課題に対する解決策として、FLCSでは、モダナイゼーションのファイナンスを支援するサービスを提供しています。着手時にかかる費用を月払いにすることでキャッシュフローへの影響を抑え、新システムへの移行に伴う負担を軽減することが可能です。また、ファイナンスサービスの提供開始を新システムの稼働時期と整合させることで、新旧システムの費用の二重払いを回避できます。加えて、モダナイゼーションでは複数のベンダーや協力会社が関わるため、契約や支払いの管理が複雑になりがちですが、それらの契約をまとめて一本化し、管理負荷を軽減することもできます。



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―システム刷新の技術支援に加えて、ファイナンス面からも支援することで、モダナイゼーション推進のハードルを下げているのですね。



岡田:はい。FLCSは富士通リースを前身とし、2008年に東京センチュリーグループの一員となりました。本サービスは、富士通が持つIT分野の技術や実績と、東京センチュリーが培ってきたファイナンスの知見を掛け合わせたものです。



島津: ベンダー全体を見渡しても、ファイナンスサービスまで含めて提供できる企業は多くありません。当初は、資金調達やキャッシュフロー管理に課題を抱える中堅企業からのニーズを想定していましたが、実際には大手企業からも高い関心を寄せていただいています。とくにIT部門主導でモダナイゼーションを進めているお客さまからは、ファイナンスのソリューションがあることで経営層に提案しやすくなり、説得力が高まったという評価をいただいています。




 
 

―最後に、モダナイゼーションに取り組む企業へのメッセージをお願いします。

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岡田: 世界のエクセレントカンパニーに共通しているのは、常に変革を続けている点です。お客さま自身の変革を支援するとともに、社会の変革にも貢献していくため、われわれも従来のファイナンスの枠組みにとどまらず、新しい時代に求められるサービスを通じて、お客さまの挑戦を支えていきたいと考えています。



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島津: AI活用が当たり前になっていく社会において、モダナイゼーションは不可欠です。最新のシステムとファイナンスサービスを活用し、As IsからTo beへの変革を実現することで、一緒に日本を元気にしていきましょう。


 

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島津めぐみ(しまづ・めぐみ)さま

富士通株式会社 執行役員副社長 COO(サービスデリバリー担当)

1987年システムエンジニアとして富士通に入社。製造業の顧客を中心に大規模システムインテグレーションプロジェクトを担当。2009年から米国を拠点に、日系企業の現地拠点システムインテグレーションプロジェクトに従事。2015年よりインフラサービスビジネス領域責任者として、安定的な利益体質への改善を実現。2021年からはサービスデリバリーも担当。2022年、英国へ拠点を移し、サービスデリバリーのさらなる改革推進、さらにモダナイゼーション事業の責任者として全社リード。2024年帰国、現職(COO)に至る。

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岡田利明(おかだ・としあき)

FLCS株式会社 代表取締役社長

1989年富士通入社。債権管理業務からキャリアをスタートし、以降、一貫して財務経理畑を歩む。国内外の各種ファイナンス案件をはじめ、グローバルな資金支援体制の構築、IFRS導入、為替管理、資本政策などに従事。6年間の英国駐在を経て、財務部長、ファイナンス戦略室長、財務経理本部長代理、金融子会社社長などを歴任。2023年4月に、東京センチュリーと富士通の合弁会社であるFLCSに入社。同年6月より現職




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