投資家情報社長メッセージ

グローバルに展開する「金融機能を持つ事業会社」として循環型経済社会の実現を目指します 代表取締役社長 浅田俊一 グローバルに展開する「金融機能を持つ事業会社」として循環型経済社会の実現を目指します 代表取締役社長 浅田俊一

変化が求められるリース事業

リースは、契約期間に応じて支払金額が一定となり、費用の平準化が図れるなどの利点のもと、多くのお客さまに活用されている調達手段です。その一方で、お客さまがモノを使用しない期間がある場合、その期間におけるサービス提供の観点では、リースにも更なる工夫が必要ではないかと考えています。

昨今、世界中でシェアリング・エコノミーが普及している背景などからも、お客さまの視点で考えると、リースは、契約期間ではなくて、使用に応じて支払うことが適正なビジネスと認識される時代になるかもしれません。

このような考え方が更に浸透した場合、従来型のリース業を発展させた金融・サービスの提供が求められるなど、リース業そのものが大きな転換点を迎えるのではないかと考えています。

時代の変化や多様化するお客さまのニーズに対応してゆく決意を表す意味も含めて、当社は2016年10月1日に社名から「リース」を外して「東京センチュリー株式会社」に変更しました。

従来型のリース業を中心とするリース・ファイナンスのプロバイダーから、変化に対応できる「金融機能を持つ事業会社」として、採算性の高い事業性ビジネスに注力しています。

循環型経済社会づくりを担う存在であるために

気候変動や資源の枯渇などがグローバルな環境問題として取り上げられる中、今後、地球環境を意識した経営が一層求められるものと考えています。

そもそもリース業が成立するためには、モノの再利用が可能となる、セカンダリービジネスというものを身に付ける必要があり、循環型経済社会の形成は、リース会社が当然に実践すべきことと考えています。

当社の事業の柱である、オートリースや航空機リースなどを例に挙げると、既にセカンダリーマーケットが確立されており、お客さまとの契約は当社が残価リスクを負うオペレーティング・リースが主流です。リースの契約期間中、クルマや航空機の使用価値を維持するため、当社がメンテナンスやサービスを付加することにより、適正価格で良質な「モノ」をセカンダリーマーケットに供給することができます。

その他、再生可能エネルギー普及の観点で申し上げれば、当社は、業界トップクラスの規模で太陽光発電事業を行い、化石燃料を使わない環境に優しいビジネスを展開しています。この他、汚泥や廃棄物など従前、当たり前のように捨てていたものを活用して、汚泥消化ガス発電、バイオマス発電にも注力しています。

このように、リース業や再生可能エネルギー事業をはじめ、当社の業務が循環型経済社会の実現に非常に貢献している業態と認識しています。これからも、リースや金融の枠を超えて、環境に優しい循環型経済社会の実現に向けた事業性ビジネスを更に発掘していく考えです。

事業を通じた社会課題の解決

日本は、少子高齢化の加速に加えて、都市部への人口集中と地方の過疎化が問題になっています。日本経済が復活するためには、地方の創生が大変重要であると捉えています。

企業としてどのように地方創生をアシストできるのだろうかという課題意識を常に持っていますが、昨今、訪日外国人観光客が大幅に増加しつつあり、日本における観光業は数少ない成長産業になるのではないかと考えています。

このような背景もあり、当社は国際的な5 つ星ホテルが自ら進出する世界初の温泉リゾート「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」の開発を手掛けました。

今回、世界有数のホテルブランドであるインターコンチネンタルを大分県の別府に誘致できたことは明るい話題と捉えています。別府は海外からのアクセスも便利で、温泉をはじめ観光資源に富んでおり、ホテル進出に厳格なインターコンチネンタルもこの地に魅了されたのだと思います。

当社は「ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ」のプロジェクトに数年を費やし、今後に繋げることができる、貴重な経験をさせていただいています。また、何よりも地域の方々が次の時代を頑張って生きていくために、当社として少しでもお役に立てると考えると、大変意義のある取り組みであると思っています。

地方創生の観点では、もう一つ注力していきたいのが農業です。地方における一番の課題は、産業が少ないために働き口が少ないことです。地方においては、生活手段として第一次産業の農業、漁業、林業などで成り立つことが理想で、この問題が解決できれば地方は元気になります。当社としても何か出来ることがあるはずだと考えており、既にパートナー企業とともに農業の事業化に向けた検討を開始しています。

最近では、「当社が日本の社会に貢献できることは何であろう?」と常に考えながら仕事をしています。地方の創生、観光立国、インフラ整備等、日本にはまだまだ課題があり、当社の事業を通じた社会課題の解決機会も多数あると考えています。

コーポレートスローガン

その挑戦に、力を。

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経営方針

  1. お客さまとの連携や、グループの総力の結集をもって、あらゆる可能性を追求しながら、グローバルに最良の商品・サービスを提供し、お客さまの事業発展に貢献します。
  2. 新しい事業領域を切り拓きつつ、持続的成長を実現することにより、中長期的な企業価値の向上に努めます。
  3. 多様な人材の能力と個性の積極的な発揮を促す風土を醸成し、すべての役職員が専門性を高め、成長と誇りを実感できる企業を目指します。
  4. 企業の社会的責任を常に意識し、循環型経済社会づくりを担う存在として、積極的かつ誠実に事業活動を行います。

パートナー企業に選ばれる存在であるために

当社は、自由な経営環境のもと「金融機能を持つ事業会社」として、パートナー企業と事業会社を共同経営するなど、採算性の高い事業性ビジネスを幅広く展開しています。この事業性ビジネスの成功は、何よりもパートナー企業との信頼関係の構築がキーとなります。

例えば大規模な太陽光発電所の建設は、多額の資金が必要となるため、当社単独では対応できない案件です。太陽光モジュールのトップメーカーである京セラ(株)や金融機関などのパートナー企業との信頼関係を大切にして案件を進めることで、当社の太陽光発電所は業界トップクラスの236MW(75カ所)にまで増加しました。

協業の継続にあたっては、事業会社や金融機関などのパートナー企業の事業の発展をアシストするために、当社はその期待に応えうる真摯に努力をする会社であり続けます。

世の中が求めているニーズを理解し、アジアにおけるフィンテック事業や航空機リース事業の展開などの実績を積み上げることも、パートナー企業に評価されるポイントであると思います。

当社は自由で大変面白い業態だと思いますが、今後も「金融機能を持つ事業会社」として、今の業種区分では括れない、新しい金融・サービスをパートナー企業とともに展開していく考えです。

次期中期経営計画に向けて

第三次中期経営計画が3 年目を迎え、連結経常利益800億円以上の達成確度が高まる中、総仕上げに取り組んでいます。是非とも達成して、当社設立10周年の区切りの年度にしたいと考えています。次期中期経営計画(第四次)の構想・KPIなどは、2018年後半に固めますが、採算性の高い事業性ビジネスを拡大していくことで、経常利益の目標は区切りのよい1,000億円が一つの候補になるのではないかと思っています。

外部環境は不透明な要素が多いものの、アジア・米国の経済成長には期待しています。世界経済への影響度が増大している中国の政治・景気動向には、注視する必要がありますが、「クリエーティブな姿勢で、パートナー企業との信頼関係を持って仕事を行う」この信条を守っていければ、当社の未来は明るいと思っています。

2019年3月期 通期業績予想

  2018年3月期実績 2019年3月期予想 前期比(額) 前期比(率)
売上高 10,122億円 10,500億円 378億円 3.7%
営業利益 737億円 760億円 23億円 3.1%
経常利益 790億円 830億円 40億円 5.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 513億円 515億円 2億円 0.3%

リスクマネジメントおよびコーポレート・ガバナンスについて

当社グループにおいては、従前から企業の信用リスク、金利・為替変動リスク、不動産・船舶・航空機・自動車等の資産価値を有する物件のモノにかかわるリスク、情報セキュリティリスク、システム・事務リスク、設備投資の動向、保有資産の価格変動、制度変更など様々なリスクが存在します。

企業価値の最大化には、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが重要であると認識しています。経営環境の変化に迅速に対応し、かつ、的確な判断が可能となるように、健全で透明性の高い経営体制の実現に取り組んでいます。

2018年4月に当社は持続可能な企業活動(サステナビリティ)の企画・推進・統括およびサステナビリティにおける重要課題(マテリアリティ)に対応していく組織として、「サステナビリティ委員会」を新設しました。

こちらでは、地球環境問題、社会全体の課題などを議論するとともに、SDGs(持続可能な17の開発目標)の目標に向き合い、次期中計におけるアイデアも練っていく考えです。

昨今、企業の不祥事が相次いでおり、経営の監督機能の強化が求められていると感じています。当社は多様なビジネスを展開しているため、社外取締役には金融学会の元会長、事業会社の元経営者、船舶会社の経営者など、社外取締役のバックグラウンドや能力の多様性・バランスを考慮しています。各々の役割を期待しており、役員体制を含めたガバナンスの一層の強化を図っていく考えです。

さらなる成長に向けた各事業分野の取り組み

国内リース事業分野

当社の祖業で50年以上の歴史がある中、近年は、事業環境の劇的な変化に対応していくことが課題です。豊富な顧客基盤とサービスを付加したビジネスの展開により、低金利の環境下においても安定した収益を得ることができています。これには日本有数のメーカーとの協業となる事業性ビジネスの拡大が大きく貢献しています。特にIT 機器は、製品のライフサイクルが短く、更新需要が常にあることからリースとの親和性が高いと考えています。

IoT 時代の本格的到来を迎え、「利用」「時間」単位などの従量課金サービスに対応可能なサブスクリプションプラットフォーマーであるビープラッツ(株)と業務提携を行い、IT 機器や医療ロボットなどを対象とした、新しいビジネスモデルを創出していく考えです。その他、「ロボット」「発電事業」「IoT」などを主なテーマに、有力パートナーとの協調関係のもと、サービス化ビジネスを拡大していきます。

スペシャルティ事業分野

私たちの一番コアなビジネスで当社の成長を牽引している事業です。航空機事業についてはアジアの成長に期待するとともに、現代社会の移動手段の主流ということもあり、引続き注力しています。

1機数十億円以上する機体もあることから、大手航空会社でもリースの調達が非常に増えています。当社は、米国大手航空機リース会社であるAviation Capital Group(以下、ACG)を持分法適用関連会社にし、ACGを中心に新造機のオペレーティング・リースを拡大していきます。

不動産事業については米国での事業が非常に順調で、パートナー企業とともに今後は海外に一層、注力していく考えです。

環境・エネルギー事業は、太陽光発電事業が順調に進捗しています。京セラTCLソーラー合同会社での発電事業を中心に、最近では、セカンダリーで太陽光発電所を取得することや、台湾でも太陽光発電事業も展開しています。将来、日本・アジアでの太陽光発電事業の総投資額は、2,000億円規模となる見込みです。

国内オート事業分野

国内のオート事業は業界トップクラスの車両管理台数と専門性の高いサービスによる強固な事業基盤のもと、毎年安定した高い利益を創出しています。自動車産業はこれから大きな変化が起きることが予想されます。自動運転の研究が進展し、ライドシェアも日本国内で普及する可能性があります。そのような時代に車両管理台数は約64万台、法人・個人向けオートリース、レンタカーまでの広範なサービスを持っているというのは私たちの大きな強みです。高い専門性と品質が求められるアウトソーシングサービスやレンタカーにおけるインバウンド需要への対応など、オートリース・レンタカー事業は当社の事業性ビジネスの先端であり、成長余地も大きいものと判断しています。シェアリング・エコノミーの普及は追い風になりそうです。

国際事業分野

これまで当社の事業を大きく牽引してきたのはスペシャルティ事業分野でしたが、今後は国際事業分野も更なる成長ドライバーとして大きな役割を担うことを期待しています。世界各地に広がる有力パートナー企業の顧客基盤と当社グループの知見を掛け合わせることでシナジーを発揮し、ビジネスを拡大していきます。特にアジアにおいてパートナー企業と進めているフィンテック事業は、将来、国際事業分野の収益の柱になりうると期待しています。中国ではカード決済サービス最大手である銀聯商務有限公司とEコマース・ファイナンス事業がスタートしています。電子マネーの利用が拡大しているインドネシアでは、Lippoグループとの提携により、フィンテック事業を大きくしていく考えです。また、東南アジアにおける配車サービス最大手Grabとのアライアンス事業にも注力し、現地ドライバー向けのオートリースやカーファイナンスの拡大に注力していきます。

資本政策と株主還元について

2018年3月期の年間配当金は、親会社株主に帰属する当期純利益が513億円と、期初予想を上回ったことから、期初予定より9 円増配の114円(配当性向23.5%)とさせていただきました。2019年3月期は、親会社株主に帰属する当期純利益の増益予想と配当性向の前期比1.5ポイント上昇により、更に8円増配の122円(配当性向25.0%)を予定しています。

昨今、ROE(Return on Equity)が重要な経営指標の1 つとして定着してきました。ROEはPBRとの相関も見られるため、投資家の期待に応える観点からも、ROEをベースに評価することは大変わかりやすいと思っています。

当社のROEは12%以上を9 期連続で達成するなど、同業他社との比較においては圧倒的に高い実績を残してきました。今後もROEに関しては高い水準を維持し、投資家の期待に応えていきたいと考えています。

当社の配当方針としましては、長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本としつつも、持続的な利益成長を果たしたうえで、配当性向の向上も図っていきたいと思います。

時価総額につきましては、4 つの事業分野の拡大が寄与し、合併によりスタートした2009年からの9 年間で11倍にまで拡大しました。

当社が属している東証33業種の「その他金融業」の中でPBRを比較すると、当社は市場から高い評価をいただいているように見えます。これは、金融事業ではなく、サービス事業と見なすことができる事業性ビジネスのウエイトが相対的に高いことが理由であると思っています。投資家には、業種の垣根を越えて、「サービス業」のようなPBRで評価していただきたいと考えており、事業性ビジネスを中心とする、新しい金融・サービス業に更に注力していきます。

配当金・配当性向の推移

成長事業への投資を優先しながらも、配当金の拡充にも配慮し、着実な収益拡大を目指す

配当金・配当性向の推移

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リースを超えた新しい形の金融機能を持つ事業会社

当社グループは、優良なお客さまに恵まれるなか、規制に縛られない、銀行・商社・メーカーの中間領域で自由に事業展開できる稀有な存在です。

「所有から利用へ」とドラスティックな時代の変化に合わせながら、「リース」という枠を超え、『金融×サービス×事業』の3軸融合による「金融機能を持つ事業会社」として、新しい金融・サービス業を目指しています。

国内リース事業分野の堅実な営業基盤を武器として、高い専門性を発揮するスペシャルティ事業分野、業界屈指のラインナップを擁する国内オート事業分野、有力企業とのパートナーシップを軸として世界37の国と地域に展開している国際事業分野の伸長は著しく、これら4つの大きな柱が当社グループを支えています。

グループの総力を結集して、グローバルに最良の商品・サービスを提供し、お客さま・パートナー企業のビジネスへの挑戦をアシストしていきます。

ステークホルダーの皆さまにおかれましては、今後とも当社グループへのご支援とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。