投資家情報社長メッセージ

「金融機能を持つ事業会社」として循環型経済社会への貢献を力強く推進します。 代表取締役社長 浅田俊一 「金融機能を持つ事業会社」として循環型経済社会への貢献を力強く推進します。 代表取締役社長 浅田俊一

10年間の振り返りと東京センチュリーの強み

当社は、センチュリー・リーシング・システムと東京リースの合併により2009年4月に発足した金融・サービス企業であり、今年で合併10周年を迎えました(合併時:東京センチュリーリース)。合併当時は、リース会計基準の改正やリーマン・ショックに端を発した世界的な金融危機が起こるなど、リース業界は今後、厳しい経営環境になるのではないかと見られていた時期でもありました。当社も従来型リースを中心とする事業形態では、今後、大きな成長は望めないと考え、新しい金融・サービスのビジネスモデル構築に注力することで、事業の拡大を目指すことにしました。

当社の強みは、豊富な顧客基盤を有していることに加えて、規制のない自由な経営環境のもと、金融からサービス、事業性ビジネスまでのすべてをお客さまに提供できることです。現在では、サブスクリプション、レンタカー、航空機事業、再生可能エネルギーによる発電事業、フィンテック事業などのユニークな分野にも進出し、事業領域を拡大させています。2016年には従来型リースから脱却したビジネスモデルの変革を反映し、社名についても「リース」を外して「東京センチュリー」に変更しました。社会のニーズに機動的に対応できる「金融機能を持つ事業会社」として、お客さまの真のニーズに対応していく決意を込めたものでした。

業績面に関しては、合併直前期から起算して経常利益が10期連続で過去最高益を更新しているほか、配当金も当社発足以来10期連続の増配を計画しているなど、業績面における着実な成長が時価総額の増加にも寄与したと考えています。加えて、この10年間で当社独自のビジネスモデル・経営戦略についても投資家の皆さまから、一定のご評価をいただけているものと考えており、大変嬉しく思っています。

同時に特に心強いと感じていることは、当社の役職員一人ひとりが、これまでの経験を活かしながら、事業の変化に対応しようと日々の業務に前向きに取り組んでいることです。当社は従来型リースから金融・サービス、事業性ビジネスの拡大に舵を切っており、役職員の発想の転換と業務へのプロアクティブな姿勢が、当社の現在の成長につながっているものと考えています。今では誰もがクリエーティブな発想のもと、自信を持って金融・サービス、事業性ビジネスの創出に取り組んでいるものと感じています。

これまでセグメント資産残高は3.5兆円を超えるなど、積極的に事業基盤を拡大してきましたが、当社のように規制に縛られず、自由に事業展開できる企業は、世界的に見てもユニークな存在であると思います。次の10年では、これまでの先行投資の成果も着実に享受しながら、引き続き世の中に必要とされる事業を数多く創出していきたいと考えています。

代表取締役社長 浅田俊一

第三次中期経営計画のレビュー

2016年度を初年度とする3カ年の第三次中期経営計画は第一次、第二次に引き続き、成長に向けた基盤構築を最大のテーマとし、資産効率を重視したビジネスの推進と経営自由度の高さを活かした事業性ビジネスの拡大を強力に推進してきました。経営目標として、経常利益800億円以上、ROA2.3%以上、自己資本比率11.0%を掲げ、第三次中計最終年度(2019年3月期)の実績は、経常利益863億円、ROA2.6%、自己資本比率10.4%となりました。

経常利益は、航空機事業、太陽光発電事業、オート事業など相対的にROAの高い事業性ビジネスの拡大戦略が奏功し、2015年度実績比183億円の増加となりました。CAGR(年平均成長率)の観点からも8%以上の成長を実現し、計画値を大幅に上回ることができました。ROAにおいても事業性ビジネスの寄与により、2015年度実績比で+0.3ポイント上昇の2.6%となりました。自己資本比率については、M&Aをはじめとする戦略的な成長投資を先行させたことなどにより、若干ながら未達となりましたが、相応の財務安定性を確保しています。

第三次中期経営計画では、営業基盤の強化と経営基盤の強化に取り組みましたが、各事業分野における具体的な営業基盤強化の実績は次のとおりです。国内リース事業分野では、サブスクリプション・プラットフォーム事業を手掛けるビープラッツの持分法適用関連会社化や大手ロボットメーカーとの提携によるロボットレンタル事業など、リースビジネスの枠を超えた事業領域への進出を推進しました。国内オート事業分野では、優良資産積み上げによる収益力の拡大を図り、日本カーソリューションズによる東京ガスオートサービスの連結子会社化、ニッポンレンタカーサービスにおけるフランチャイズ制度の見直しと直営化を完了させました。スペシャルティ事業分野は、航空機事業と不動産事業におけるバリューチェーン構築に注力しました。具体的には、米国大手航空機リース会社Aviation Capital Groupの持分法適用関連会社化を実現するとともに、不動産事業では神鋼不動産の連結子会社化、日土地アセットマネジメントの持分法適用関連会社化を果たしました。国際事業分野では、米国の大手独立系リース会社であるCSI Leasingの完全子会社化を完了、東南アジア地域最大の配車サービス会社のGrabに出資するとともにGrabレンタカーなどの共同事業を開始しました。インドネシアの大手財閥であるLippoグループが「OVO」ブランドで運営を開始した電子マネー・ポイントサービス事業会社への出資も行いました。

経営基盤の強化については、連結ベースリスク計量への本格移行とモノリスクや外貨建投資・流動性等の計量ロジックの高度化を図りました。内部管理体制強化についても、内部通報制度やBCP等の整備をはじめとする危機管理対策など、グローバルベースで拡充させてきました。こうした施策の結果、収益力向上とリスクコントロール体制の充実により、2019年1月にJCR格付がA+からAA-に向上し、2019年3月にはR&I格付の方向性がAフラット「安定的」から「ポジティブ」に変更されました。さらに、インデックスに新規採用されたことも第三次中期経営計画における一つの成果であると考えています。採用されたインデックスは、多くの機関投資家がベンチマークにするMSCI Japan Index、ESGに係る優れた対応を行っている企業を選別して構築したFTSE Blossom Japan Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数が挙げられます。

経営目標達成状況

代三次中期経営計画目標 2019年3月期実績
グラフ

第四次中期経営計画の概要と経営目標

次の10年を見据え、新しいステージに向けた準備と持続的な成長を目指し、2019年度から新たな第四次中期経営計画をスタートさせています。合併後の10年は、金融を主軸としたビジネスからの変革に注力し、パートナー企業と共同で事業会社を経営するような事業性ビジネスの推進と新たな事業領域への拡大を推進してきました。第四次中期経営計画は、第三次中期経営計画を更に進化させて、事業性ビジネスの拡充や資産効率を一層高めることで、ROAの更なる向上を図り、持続的な成長を着実に進めていくことになります。

第四次中期経営計画の目標値には、経常利益、ROA、自己資本比率、ROEを掲げ、最終年度となる2021年度の経常利益は1,000億円以上を目指します。経常利益目標の達成については、従来以上に、パートナー企業と協働した当社独自のビジネスモデルの発展・拡大が必要となります。ROAについては、2018年度まで営業資産残高を対象にしてきましたが、2019年度以降は持分法適用関連会社への出資額などを含めたセグメント資産残高を算定上の分母に変更します。セグメント資産残高を分母とする2018年度のROA実績値は2.5%、第四次中期経営計画におけるROA目標値は2.7%以上と、3カ年で+0.2ポイント以上の上昇を目指す考えです。ROA2.7%以上は業界トップクラスの水準と捉えており、目標値の達成には付加価値の高い金融・サービスの提供が必須です。名実ともにトップクラスの金融・サービス企業となるべく、国内外のパートナー企業との連携を活かした独自性のあるビジネスモデルの拡大に引き続き注力する考えです。自己資本比率は、業容拡大に伴うリスク耐久力の増強を図るため、12.0%以上を目指します。ROE12.0%以上の目標値は、第四次中期経営計画から新たに掲げたものとなります。経常利益、ROA、自己資本比率の目標値達成に加えて、株主資本コストを上回るROEを実現していくことが、利益の増加に連動した企業価値向上につながるものと考えています。

資本政策については、持続的な成長に向けて成長事業への投資を継続していくと同時に、株主還元にも配慮しながら、財務規律を強く認識した着実な収益拡大を目指します。配当性向としても、成長投資とのバランスを確保しながら、第四次中期経営計画の最終年度までに配当性向30%程度まで引き上げていきたいと考えています。

第四次中期経営計画目標

第四次中期経営計画目標

配当金・配当性向の推移

長期的かつ安定的に利益還元を行うことを基本とし、成長投資とのバランスを確保しつつ、配当性向の向上を図る

配当金・配当性向の推移

第四次中期経営計画における経営基盤強化

第四次中期経営計画においても、中長期的な企業価値向上を支える経営基盤の確立に向けて邁進していく考えです。その中でも人材戦略が重要な経営課題の一つであると認識しています。これからの10年は、環境変化のスピードが一層速まり、わずか数年で世の中が一変しても不思議ではない時代です。

当社は、変化の激しい事業環境と事業領域の急速な拡大に対応するため、社員のダイバーシティを加速してきました。当社が推進する事業性ビジネスは、高い専門性が求められることから、新卒採用とともにキャリア採用を重視する人材戦略を推進しています。その結果、外国人も含めて様々な分野から多彩な能力を持つ人材が当社に加わり、社内が活性化してきていると感じています。新卒採用に関しては既に女性が半数を占めており、当社の事業成長には女性の活躍が極めて重要であると考えています。

世の中で働き方改革が進展する中、当社においても在宅勤務をはじめとする柔軟な勤務体系と社員の健康増進にも配慮した安心して働ける制度を推進していく計画です。さらに、従業員の満足度向上とともに自己成長を実感できる人材育成やダイバーシティの更なる加速により、クリエーティブな発想が求められる先進的な事業の取り組みを後押ししていきたいと考えています。

資産効率を一層高めて持続的な成長を可能にするためには、リスクマネジメントも重要な要素であり、第四次中期経営計画ではリスクマネジメント体制の高度化も目指していきます。それとともに、情報セキュリティや危機管理・品質管理などへの対応を強化し、柔軟なリスクテイクを可能にしていく考えです。コーポレート・ガバナンスについては、2019年6月に社外取締役が1名加わり、社外取締役の比率は取締役全体の1/3以上になるなど、取締役会における更なる議論の活発化が期待できます。

取締役会では、当社の持続的成長に向けた自由な議論を行うフリーディスカッションも実施しており、今後の経営戦略を想定する上でも、大変有意義な場になっています。取締役会における議論の活発化や社外取締役を中心とする牽制機能の発揮は、当社の更なる成長に向けての必要基盤であり、今後ともコーポレート・ガバナンスの充実に努めていく考えです。

代表取締役社長 浅田俊一

次の10年に向けて

次の10年も当社が持続的成長を果たしていくためには、パートナー企業との事業性ビジネスの拡大と先行投資の収益実現フェーズへの移行、さらには、社会課題に適合した新たなビジネスの創出に注力していく必要があります。具体的な方向性としては、航空機、オート、不動産、再生可能エネルギーなどの成長事業の深掘りに加えて、SDGsとの関連性の高い事業領域の拡充と考えています。今後の事業環境は、デジタルやモビリティ、サブスクリプションなどのキーワードが示すように、テクノロジーの発展に即した新しいサービスが求められるものと想定され、時代に沿った当社ならではの金融・サービスの提供機会は増えるものと考えています。現在、安定的な事業基盤を確立した4つの事業分野の業績を背景に、今後の成長に向けては5つ目の柱となる事業分野を探索することも必要です。

自ら変わることを躊躇しない「金融機能を持つ事業会社」

時代が大きく変わろうとする今、私たちは引き続き、「金融機能を持つ事業会社」として新しい金融・サービスを創出していく考えです。その中でも、循環型経済社会の実現への貢献というキーワードは、企業理念体系で掲げているミッションでもあり、次の10年においても引き続き重要です。

当社は2019年度より、SDGsに係わる5項目のマテリアリティを特定しました。「低炭素社会への貢献」では、クリーンエネルギー普及に向けた太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー事業の拡大を図っていきます。「技術革新に対応した新事業創出」では、サブスクリプション、フィンテックなどのデジタルエコノミーへの貢献で当社の独自性を発揮できるものと考えています。「社会インフラ整備への貢献」については、ニッポンレンタカーサービスを中心とするモビリティーサービスの提供、2019年8月に開業予定であるANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパを通じた地方創生などへの貢献となります。「持続可能な資源利用への対応」では、CSI Leasingが展開するIT機器リース、航空機、自動車などのモノ価値に着目したサーキュラー・エコノミーの拡大が視野に入ってきます。これらに「人材力強化につながる職場環境整備」を加えた5項目のマテリアリティの共通基盤となるものが「多様なパートナーシップの活用による新たな価値創造」であり、本業の発展を通じてSDGsの目標達成にも貢献できるものと考えています。

あらゆる組織は、過去の実績が良ければ変化を恐れ現状維持に傾きがちです。しかし、時代の変化に対応していくことは企業経営にとって必須の課題であり、その中で、自らを変えることに躊躇してはいけないと常に自戒しています。これからもグループの総力を結集して、グローバルに最良の商品・サービスを提供し、お客さま・パートナー企業のビジネスへの挑戦をアシストしていく所存です。ステークホルダーの皆さまにおかれましては、今後とも当社グループへのご支援とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。